新型コロナウイルスの感染拡大が広がり、2020年は様々なイベントやカスタムショーが中止、もしくは延期となってしまったのだが、いよいよ2021年は「新型コロナの存在を意識しつつも感染拡大防止に留意し、イベントを開催する」という流れが現実的になってきたといえるだろう。
去る2021年8月8日(日)に愛知県名古屋市のポートメッセなごやで開催された「ジョインツ2021」も気がつけば2年ぶり。2019年以来となったのだが、多くの人がカスタムショーの開催を待望していた様子である。
日々、更新される新型コロナウイルスの陽性者数や、それに伴い各地で発出される緊急事態宣言、そしてこの日、日本列島にダブルで上陸した台風9号・10号など今回のジョインツ開催にあたって不安な要素も正直あったのだが、当日の名古屋は気温38度を超える好天に恵まれた状況。結果、多くのカスタム・フリークが会場へと愛車を走らせ、訪れることとなった。
入場口には空港施設などで使われるAI体温センサーを設置し、手指への消毒とマスクの着用を徹底することで感染拡大防止に配慮することで開催された今年のジョインツ。その当日の様子と百花繚乱に極上のカスタムが並ぶ会場の光景をここではお伝えしよう。
会場となったポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)第2展示館の前はご覧のとおり長蛇の列。当日は感染拡散防止対策として入場者の氏名および住所の記入も実施された。
入場口ではスタッフたちによる手指の消毒の他、ご覧のようなAI搭載の体温センサーを設置。空港施設などでも見られるこのシステムによってスムースな入場が実施された。
第2展示館前のバイク特設駐車場はご覧のとおり例年のジョインツと変わらぬ光景。今、キャンプなどのアウトドア・レジャーと並びバイクがブームだが、カスタムの世界にも波及してほしいところ。
当日の会場内はご覧のとおり。少し「密」な気もするが、訪れた皆さんはマスク着用の上で静かにカスタムバイク鑑賞を堪能していた様子。
会場の片隅では地元、名古屋のクロージングショップであるViSEが「イベント内イベント」と呼べる「Black Board Chopper Show」を開催。当日の盛り上げに一役買う。
ViSEによる「Black Board Chopper Show」ではオールドスクール・チョッパーの展示はもとより写真作品の展示やカフェの展開など内容も盛りだくさん。当日は熱中症対策として「フタ付きの飲み物」のみ、会場内への持ち込みが許可されたとのこと。
会場の一角では歴代のナックルを集めた「ナックルゾーン」なるイベントも実施された今回のジョインツ。カスタムファンのみならずビンテージ・マニア垂涎の催しである。
「ナックルゾーン」では超貴重な1936年式から最終の’47年式まで歴代のナックルヘッドが揃い踏み。ハリウッドバーやフランダースハンドルの装着など当時なりのカスタムも見ものだ。
カスタムショーといえば欠かせないのがキャンペーンギャルの存在。マスク着用という部分こそ例年の光景と異なるが、会場に華を添えるという点はいつもと同じだ。
2007年にスタートし、今年で15回目を数えるジョインツを主催する高橋充氏。新型コロナ感染拡大という状況の中、可能な限り安全に配慮し、ショーを開催する姿勢には脱帽である。
アイアンハートやモトブルーズなどお馴染みのショップが立ち並ぶベンダーブース。2年ぶりのジョインツだけに皆さん、売上も好調だったとのこと。こうしたイベントではショッピングも大きな魅力のひとつだろう。
コチラのシンプルなフリスコスタイル・ショベルは愛知県豊川市のヨッシーズの手によるもの。イエローに彩られたフレームが独自の個性を演出する。
毎回、各ショーで新作を披露する京都のホットチョップはご覧のショベルチョッパーを展示。細部に渡るディテールワークが光る1台だ。
大阪・高槻市に店舗を構える新進気鋭のショップ、グルーヴワークスは得意の4速フレームのチョッパーを披露。シンプルさの中で独自性が追求されている。
お馴染みのカスタムワークス・ゾンはソフテイルフレームにパンヘッドを搭載したコチラの1台の他、クラブスタイルのダイナとショベルチョッパーを披露。ショップの守備範囲の広さが伺えるラインナップである。
ワイドタイヤ・ソフテイルフレームとオールド・モーターであるパンヘッドという組み合わせが新鮮なゾンによる1台。ワンオフのマフラーやタンクの造形はサスガだ。
4速フレームのショベルをベースにしたチョッパーは京都の105サイクルワークスによるもので、車両オーナーは20代の青年とのこと。かなりシブい趣味だ。
愛知のフリースタイル・カスタム&チョップは新作のショベルを2台展示。どちらも飽きのこないであろうフィニッシュが与えられている。
過剰にハイテックではなく、落ち着いた仕上がりを見せるコチラの1台は山梨のバイクガレージココロが製作。TCソフテイル・カスタムの手本と呼ぶべき仕上がりである。
ショーでは毎回、新作を披露する京都のラックモーターサイクルはご覧のショベル・チョッパーを展示。最小限のパーツ構成で絶対的な個性を演出する。
ヘラ絞りで仕上げられたオイルタンクや絶妙な位置のタンクマウント、アトリエ・チェリー製のコブラシートなどディテールもラックらしさを感じるこのマシン。ならではの独自性が光る。
コチラの1台はラックのビルダー杉原氏自身の愛車とのこと。ファットボブタンクとエイプハンガーの組み合わせが今更ながらクールだ。
地元・名古屋のオールドスピードファクトリーは落ち着いたスタイルのスポーツスター・カスタムを展示。街乗りが楽しそうな1台である。
福岡の北九州からエントリーを果たしたインディアンオレンジは昨年のニューオーダーでベストを獲得したディガーと共に新作のショベルチョッパーを披露。シッシーバーと一体型のリアまわりにも注目だろう。
大径ホイールのバガーが整然と立ち並ぶ光景も、ある意味、ジョインツの風物詩。アイアンパドックやJsバガー、プライズなどのお馴染みのショップが訪れた観客を楽しませた。
愛媛県のテイクルートはスポーツスターをベースにしたコチラの1台を展示。ハイエンドなカスタムも良いが、こうした現実的なマシンもユーザーの参考になるかもしれない。
香川県のオートグラフィック・フジシマによるこの1台は映画、トランスフォーマーに登場した「バンブルビー」がデザイン・コンセプト。カスタムとしてのクオリティも高い。
福島県からエントリーを果たしたロッドスターはベスト・メタルワークを受賞したスーパーカブ・ベースのカスタムの他、コチラのショベルを披露。タンクの造形も絶妙だ。
大阪のトライジャ・ブース内に展示された新作はダイナグライドにターボを装着した1台。ワイドタイヤも迫力である。
神奈川県のトッポジョージは絶大なインパクトを放つロングフォーク・パンヘッドを展示。エンジン内部にも同店が得意とする金属表面処理が施されている。
奈良県のSプラウドは以前に製作したファットボーイベースのカスタムを仕様変更した上で飴色塗装店によるリペイントを施して出展。プロモーションとして効果的だ。
福岡県からエントリーを果たしたgeeモーターサイクルは主催者が選ぶ「ジョインツピック」を獲得。BOOピンストライピングによるエンジンに施された彫金をはじめ、見事なクオリティを見せる。
地元・名古屋から出展されたプライドロックのアーリーショベルは「ベスト・ショベルヘッド」を受賞。立体的な造形のタンクはモールディングではなく板金を駆使して製作したこだわりぶりだ。
山梨県のバイクガレージココロは2019年のYOKOHAMA HCSでもアワードを獲得したマシン、「リヴァイアサン」で「ベスト・ショベルヘッド」を獲得。ビルダー、内田朝好氏の技術とセンスが光る。
バイクガレージココロはショップスタッフの薬袋(みない)哲也氏が手掛けたコチラのマシンでも「ベスト・エボリューション」を受賞。全体のバランスといいディテールワークといい隙のない仕上がりを見せつける。
どちらかというと無機質な印象のEVOモーターにEMD製ロッカーカバーを装着した上で各部のディテールアップが施されたこの1台。オイルタンクやナンバーマウントにも創り手の拘りが垣間見える。
「ベスト・ツインカム」を獲得したのは三重県からエントリーを果たしたヴァーチュオーゾ。旧車をベースにしたオールドスクールを得意とするショップだが、素材に左右されない技術の高さが伺えるフィニッシュとなっている。
レンチモーターサイクルのこの1台は今回、「ベスト・サイドバルブ」を受賞。カウルやフェンダーの造形で個性と技術を見せつける。
スポーツスター・モデルが対象となる「ベスト・スポーツヘッド」は、この度、横浜から埼玉の越谷に移転したペイントショップのSペイントワークスが獲得。ブースのディスプレイでも訪れた観客を楽しませた。
「ベスト・ロングフォーク」は昨年のニューオーダーチョッパーショーでベストを獲得した大阪のリボルトが受賞。1年の時を経てもなお新鮮さを失わないクオリティを誇る。
細部に渡る細かい作り込みが評価の対象となる「ベスト・ツィーク」を獲得したのは、こちらもニューオーダーチョッパーショーで同率ベストを獲得した北九州のインディアンオレンジ。装着されたマグナチャージャーが迫力だ。
’84年までの4速ミッション、スイングアームモデルが対象となる「ベスト・フォースピード」は東京のヒューモンガスが獲得。モノサス化されたリア周りなど高い技術を感じさせるフィニッシュが与えられている。
修行先のホットドックやチェリーズカンパニーで培った、ビルダー小松勇仁氏の技術力が注がれた車体にサンダンス・モーターを搭載したこのマシン。サスのリンケージはもとより、リアのチェーン引きやスイングアームの造りにも注目したい。
走りを念頭においた「ベスト・クルーズ」を受賞したのはセレクテッドのM8カスタム。124cu-inのS&Sモーターを搭載した上で公認車検を取得したこの1台でビルダーの西岡氏はこの日のショーに自走で参加。同店のいつものスタンスである。
東京のジョイライド・スピードショップはHCSにも出展したマグナチャージャー付きチョッパーで「ベスト・パンヘッド」を受賞。チョッパーからレーサーまで隔てなく対峙するスタンスと技術力を見せつける。
「ベスト・バガー」は世界に名を轟かす名古屋のケンズ・ファクトリーが受賞。ミルウォーキーエイトという素材にオリジナル・ビレットパーツやカーボンパーツを装着した姿は、まさに世界市場を見据えたもの。
欧州車を対象とした「ベスト・ユーロ」は今なお破れられていない3年連続HCSベストを獲得したことでお馴染みのチェリーズのRnineTが受賞。コンプリート車として展開するこのマシンは既に11台製作しているとのこと。
国産車が受賞対象となる「ベスト・ドメスティック」は滋賀県の2パーセンターのヤマハSRチョッパーが獲得。リアのプランジャーサスや適切なトレール量で装着されたジャイロスプリンガーなどにも高い技術が見える。
板金技術が評価の対象となる「ベスト・メタルワーク」は福島のロッドスターによるスーパーカブベースのカスタムが受賞。このように車種、排気量を問わない部分もジョインツというショーの魅力だろう。