最新モデルからビンテージモデルまで、さまざまな年代や排気量、チューニングが施されたマシンがシンプルに速さを競う。それがGlemseck101の人気の秘訣。
ハーレーダビッドソンは、欧州においても独自のスタイルを貫いている。ユーロフェスティバルなど、欧州各国で開催されているハーレー主催の“ラリー”と呼ばれるハーレー・オーナーのためのミーティングイベントがその中心。そこには欧州中から新旧ハーレーとそのオーナーが大挙して集まる。そういったラリーイベントや、そこに集まるオーナーは、カフェレーサーやスクランブラーなどのカスタムシーンを中心とした、“ニューウェーブ系”と呼ばれる欧州カスタムシーンとはリンクしていない。
しかし今回取材で訪れた、ドイツ最大級のカスタムバイクイベント「Glemseck101/グレムセック・ワンオーワン」において、ハーレーはその存在感を見せつけていた。
Glemseck101は南ドイツ/シュツットガルトに近い、レオンベルグの一般公道を封鎖して行われる。メインコンテンツは1/8マイル・スプリントレースであり、年代もメーカーも排気量も、ダーボやスーパーチャージャーやニトロの装着といったエンジンチューンに車体チューニングなど、レギュレーションによって複数のクラスに分けられ、1対1のガチンコ勝負による勝ち上がり形式のレースによってクラス毎にチャンピオンを決めるのだ。速さを追求したカスタムバイクがイベントの中心にあり、欧州のトレンド的な最新のカスタムバイクが脇を固めている。
ここにはハーレーダビッドソンのオフィシャルブースが建てられ、そこに最新モデルを展示。また日本で言うところの0-200mドラッグレースである“1/8マイル・スプリントレース”のレーストラックには、チューニングメニューやパーツが豊富なハーレーは人気が高い。
とはいえそのスタイルは、本国アメリカとも、もちろん日本とも違っている。ここでは、そんなマシンを中心にGlemseck101を紹介する。
ハーレーダビッドソンはオフィシャルブースを展開。最新モデルを中心に多数のモデルを展示していた。
ビンテージ・クラス/スターウォーズに参戦したマシン。エンジンはS&S製のPシリーズを使用。スプリンガーフォークのほか、リアには19インチのドラッグスリックを装着する。
レーストラックを含むイベント会場は、1960年代にWGP(現MotoGP)やフォーミュラー1の西ドイツGPが開催された公道サーキット/ソリチュードサーキットの一部を使用して行われている。そしてその会場脇にはキャンプサイトがあり、そこでは夜な夜なパーティやBBQも開催されている。
スイスのカスタムファクトリー/モトキャンディは1200スポーツスターのエンジンを使ったマシンでエントリー。フレームは、同じくスイスのCCCP製リジッドフレームを使用。ロリ・ポップと名付けられたマシンに合わせ、ヘルメットもカラフルにデザインされていた。
ファットボーイで参戦したのは、元BMWのオフィシャルスタントライダーで、スタントライディングの世界選手権で4度タイトルを獲得しているクリス・ファイファー。レースの合間に、スタントライディングも披露。
ハーレーのエンジンをベースにしたオリジナルの3気筒エンジンを搭載する「Feuling W3」もエントリー。ライダーはボンネビルで3度ワールドレコードを更新した経験を持つルーディー・スティック。
ビューエル用の1,200ccエンジンを、オリジナルのリジッドフレームに搭載するのは、フランスのペイントファクトリー/Venom Design(ベノム・デザイン)だ。
イベントは土日の2日間。気の早い参加者たちは、金曜の夜からキャンプサイトに入り、イベントを楽しむ。土曜日は深夜までステージにバンドが立ち、お祭り騒ぎが続いた。
レースに参加するチームは、マシンのポテンシャルを高めるだけでなく、来場者を楽しませるため、コスプレをするなどさまざまな工夫を凝らしている。このメカニックは、イヤーマフにピストンをセットアップ。
V-Rodがここまで勢揃いすると、まさに圧巻。
ハーレー・オーナーたちからも注目されているSHOEIの新型ヘルメット/EX-ZERO(イーエックス・ゼロ)。すでに欧州では発売がスタートしていて、会場内のSHOEIブースには全カラーが展示されていたうえ、レースに参加するライダーたちもすでに着用されていた。