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ハーレーの燃料としてハイオクガソリンが指定されている理由

  • 掲載日/ 2005年02月13日【ハーレービギナーズスクール】
  • 執筆/ウインドジャマー 牧之瀬 保

タンクの画像

ハーレーには「ハイオクがいい」ではなく
「ハイオクが標準」なんです

ハーレーダビッドソンは無鉛ハイオクガソリン仕様(※1)です。といっても「ハイオク、レギュラーってなに?」という方のためにガソリンの違いを簡単にご説明します。まず、ハイオクはレギュラーに比べオクタン価が高いです。オクタン価とは、ガソリンの「ノッキングの起こりにくさ」を表す指数。オクタン価の高いガソリンは燃焼効率がよく、爆発力の強いガソリンということになります。ハイオクはこれがレギュラーより高いのです。また、一般にハイオクガソリンは、清浄剤をはじめとする添加物がレギュラーより多く含まれているのが特徴です。日本ではオクタン価96以上のものをハイオク。オクタン価89以上のものをレギュラーとして日本工業規格(JIS)で定めています。

さて「ハーレーダビッドソンは無鉛ハイオクを使用することで、最高のパフォーマンスと効率を得られるように設計されています」と、マニュアルにも記載されています。では、なぜ無鉛ハイオクガソリンを使用するのでしょうか。下にその理由を解説いたします。

エボリューション以降、シリンダーヘッドの燃焼室の形状が変わっています。圧縮を高め、カム、キャブレター、排気等のバランスを考慮し、さらに無鉛ハイオクを使用することで完全燃焼するように燃焼室の形状は設計され、そのため従来に比べて燃焼効率が上がっています。さらに、高い燃焼効率で高出力を得られるため、クリーンな排気を出すことができるようになり、環境問題にも配慮されています。最新のツインカムなどの新型エンジンはさらに高出力でありながら、世界各国の厳しい環境規制さえもクリアーしています。

一般的に、エンジンをチューンナップするには、圧縮を高め、キャブやカム、排気等を替えればパワーは上がります。しかし、圧縮を上げればノッキングが多くなり、キャブレター等を替えればガス濃度が上がり排ガス規制にもふれ、違反になります。我々がカスタムをする際には、チューンナップは間単にできますが、諸々の規制にすべて対応させることは非常に困難です。しかし、メーカーはこのようなすべての規制をクリアーした上でパワーアップを行います。これは非常に驚くべきことです。無鉛ハイオクを使うことで、その性能を十分に生かせるようメーカーは車両を造り上げているのです。

通常、圧縮が高いとノッキングが起こりやすくなります。そのためアンチノックのガソリン、つまり無鉛ハイオクタン価のガソリンが必要となります。もちろんレギュラーでも走ります。しかし、ノッキング(デトネーション)を起こします。ノッキングとは燃焼室の隅々のガスの正常な燃焼前にガスが自然着火してしまい(過早発火)、シリンダー近くよりカリカリという金属音が出る現象のことです。ノッキングが起こるとガスが完全燃焼しないため、低燃費や過熱の原因になります。そのままの状態を長く続けると、ピストン等、エンジン破損や焼き付き等の原因になることもあります。

では、ショベルではどうでしょう。やはり、こちらもハイオクです。ショベルの正常な圧縮比と点火時期においても、レギュラーではノッキングします。もちろん、一部の自動車についているオクタンセレクターのように、ポイント等やアジャスト式のイグニッションシステムなら、点火時期を変えてノックを無くす方法もあります。しかし、ハーレーが最初から持っている力を正常に出してあげるためには、正しい点火時期に調整した方がいいでしょう。ショベルヘッドで、レギュラーでノックしないのなら、ローコンプピストン以外は、遅角(※2)の可能性があります。調整し直した上で、ハイオクを入れるともっと調子よくなるかもしれません。

※1:無鉛ガソリン
かつてはオクタン価を高めるため、鉛成分が混ざったガソリンが使用されていた。しかし、鉛成分は毒性が強く「排気ス規制」などに対応できないため、現在は鉛成分は使われず、オクタン価の高い無鉛ガソリンが使用されている。
※2:遅角
燃焼室内のガスに点火するタイミングが、ある時期より遅くなっていること。逆に早まっていることを進角という。
プロフィール
牧之瀬 保
こんにちは。ウィンドジャマーの牧之瀬 保と申します。ショベルヘッドが現役だった頃から現在までハーレーに関わってきた経験の一部をこちらでご紹介させていただきます。皆さんのハーレーライフがこのコラムを通じて少しでも豊かになれば幸いです。

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