「念願のハーレーが今日納車なんです!」
そんな一報を受け、僕が駆け足で現場に向かうと、日も暮れた夜の8時だというのに眩しいほどの笑顔で彼女はそこに立っていた。
ピカピカで納車整備したばかりの車両がインディゴの工場にあり、スタッフが彼女の期待に答えようと更に磨き上げているなか、オーナーになるマリアさんは待ちきれんばかりのソワソワした雰囲気で愛車を見つめていた。
大手の海外雑貨取り扱い店に勤める彼女がバイク(=ハーレー)を手に入れたいという願望を実らせた過程は、そう険しいものでは無かった。
「お店が本屋メインなんですが、それに付随したファッションだったり雑貨だったりを取り扱ってて、ルート66のアイテムだったりバー&シールドのものなどハーレーに関するものも多くてアメリカってカッコイイなって! そう思い始めたら延長線上に自然とハーレーがあったんです。それで、先輩がインディゴに勤めてることもあって、トントン拍子に話しが進んで念願の今日となったんですよ!」
彼女が選んだのは、ハーレーの中でも比較的初心者でも取り扱いやすいスポーツスターだ。モデルは「R」レーシングの通り、レーシーなデカールにフロントはWディスクブレーキと、走る楽しさを満喫出来る度合いはスポーツスターの全モデルの中でもひと際高いものといえる。
「今乗りまわしてもバイクに乗られてしまってる感が満載だと思います(笑)。だから一日でも早くバイクに私が乗ってる/乗りこなしてると思われるようなライディングが出来るように、今年の夏は走り回りますよ(笑)」
彼女は待望のハーレーに跨り、緊張しながらも弾けるような笑顔とともに走り去っていった。