2008年に刊行された雑誌VIRGIN HARLEY から何度も表紙や巻頭特集に登場していたハーレーを駆るモデル、“かまじゅん”こと鎌田順子さん。記事でも彼女のプロフィールは何度もつづられているが、意外にその内面までは知られておらず、読者などから「彼女はどんな人なの?」という質問を受けていた。ヘア&メイクアップアーティストという肩書きそのものも異色だが、彼女とハーレーを結びつける接点とは何なのか。そして知られざる彼女のキャラクターや生き様とは。雑誌では伝えられなかった等身大の鎌田 順子のスタイルをご紹介しよう。
神奈川県鎌倉市にて湘南の風を浴びながら育ち、幼い頃から「化粧をすること」と「タイヤが2つの乗り物」が好きだったという彼女。その本能に従ったのか、18歳よりヘア&メイクの修行とライダーとしての人生をスタートさせる。前者は大学卒業後、数年OLとして企業に勤めた後25歳でフリーとして独立、現在キャリア10年を超えるヘア&メイクアップアーティストとして、有名人やアーティストのメイクを手がける。ライダー暦も筋金入りで、ヤマハ ビラーゴ、スズキ イントルーダー、ホンダ スティードを経て 1980 FX SHOVELに出会う。以来、12年以上におよぶ相棒として全国を走り回るタフな女史ライダーだ。2008年より刊行された雑誌 VIRGIN HARLEY でライダー兼モデルとして起用され、以降幾度と表紙や巻頭特集に登場、愛嬌のある笑顔とキャラクターで誌面を彩ってくれる貴重な存在だ。
鎌田 ●高校生までです。大学に進学してからはずっと東京暮らしですね。
鎌田 ●小さい頃から私は好みがはっきりしていて、とにかく「化粧をすること」と「タイヤが2つの乗り物」が好きでした。今の仕事とバイクライフは、そうしたところが形になったものなんです。
鎌田 ●大学生になった18歳のときから、プロのヘア&メイクアップアーティストのアシスタントとしてアルバイトをしていました。そのまま仕事にしようと思ったんですが、両親から「きちんとした会社勤めをしなさい」と諭されまして。卒業後、一般の企業に就職したんですが、ヘア&メイクのアシスタントを続けていまして、25歳のときに退社し、 フリーのヘア&メイクアップアーティストとして独立しました。
鎌田 ●そうですね、かれこれ……あ、トシがバレちゃうんで伏せさせてください(笑)。
鎌田 ●芸能人やアーティストなどのヘア&メイクを担当させていただいてます。
鎌田 ●とにかく好きだったんです。今後もずっと携わっていきますよ、寿退社でもしない限りは。あ、でもフリーだから関係ないね(笑)。
鎌田 ●メイクの仕事と同じく、大学に進んだ18歳のときですね。普通自動二輪免許を取得して、それからすぐに大型二輪へとステップアップしました。
鎌田 ●最初はヤマハ ビラーゴでした。そこからスズキ イントルーダーに進んで、ホンダ スティードに。
鎌田 ●元々スティードに憧れていて、ビラーゴとイントルーダーはそれぞれほんの数ヶ月程度しか乗りませんでした(笑)。とんとんとスティードにたどり着いちゃって、それからはずっと大切な愛車としてバイクライフを楽しんでいました。
鎌田 ●少し語りますね(笑)。確か21~22歳ぐらいのときかな、いつものように湘南のシーサイドを走っていて、稲村ヶ崎にある COFFEE SHOP TARO’S の前で信号待ちにて停まったんです。実はこのお店、昔からカッコいいハーレー乗りがたくさん集まっていて、「一度立ち寄ってみたいなぁ」ってずっと思っていたところでして。このときもちょうどそんなことを考えながら眺めていたら、店頭にいたハーレー乗りのお兄さんが突然ハンドルバーを掴んできたんですよ!
鎌田 ●そうなんです。こっちはもうビックリしちゃって。そうしたらそのお兄さんが笑顔で「寄っていけ!」って。
鎌田 ●ええ、そこは大丈夫でしたよ(笑)。スティードに乗っていたんで、バイクの話をしようぜ、ってノリで。それから TARO’S には足しげく通うようになりました。
鎌田 ●そう、私のバイクライフをより楽しくしてくれたお店で、今もずーっとお世話になっています。
鎌田 ●そうなんです。確か23歳ぐらいのときかな、ある日 TARO’S で仲間としゃべっていると、友人のタツヤさんという人がショベルを購入してお店に乗りつけまして。それを見た瞬間、「あ、私のだ」って思ったんです。
鎌田 ●本当なんですって(笑)。見た瞬間に「これは私のバイクだ」って思い、その場でタツヤさんにもそう告げました。
鎌田 ●そう。そうしたらみんなキョトンとなって。
鎌田 ●でね、ちゃんと続きがあるんですよ。するとタツヤさんが「じゃあ順子のハーレーを探しに行こう」ってなって、横浜市青葉区にあるハーレーの旧車を扱っている GODZ というお店に行ったんです。するとタツヤさんの好みにドンピシャのショベルが見つかって、「じゃあ私がタツヤさんのショベルをもらうから」と。1時間に及ぶ協議の結果、私が言ったとおりタツヤさんのショベルが愛車となったんです。
鎌田 ●そう、分かったでしょ? それから12年以上の付き合いになりますね、このショベルは……あ、ヤバい! トシがバレる(笑)。
鎌田 ●HOTBIKE JAPAN (以下 HBJ)で以前からコラムを書かせていただいていまして、HBJが V-H の編集も手がけられることになった際、満永編集長から「V-H に出てみない?」とお声がけいただいたのがはじまりです。
鎌田 ●いえいえ、いつも楽しく仕事させていただいています(笑)。
鎌田 ●ん~~、編集部が若干盛ったんじゃないでしょうか(笑)。一周をしたわけじゃなくて、北海道と沖縄を除く日本全国を走った経験があるんです。
鎌田 ●ええ、そうですよ。まとまった休みが取れたら「じゃあ走りに行こう!」って出かけちゃいますね。
鎌田 ●そうですね、もっぱらひとりです。近隣を走るときは友達と走りますけど、ロングツーリングとなるとなかなか予定も合わせられませんし、何よりひとりで気ままに走るのが性に合っているんで(笑)。
鎌田 ●ECOさんと一緒に四国まで行ったこともありますけど、基本的にひとりで走りに行きますね。自分のペースで、自分が行きたいと思ったところに行けるのが好きなんでしょう。
鎌田 ●あ~……、それを聞いちゃいますかぁ~(笑)。そうですね、トラブルはいくつもあるんですが、一番「やっちゃった」って思ったのは、西日本ツーリングに出かけたときのこと。太平洋沿いを走りながら三重県に入り、それから内陸へと北上して滋賀県の琵琶湖を目指していたんです。すると日が暮れたと同時に土砂降りに見舞われて、前方がほとんど見えない状態で山道を走ることに。「どこかでテントを張って一晩過ごそう」と場所を探していたら、ちょうど前方にバイクとテントが納まりそうな屋根付きのスペースを見つけたんです。「ここだ!」と飛び込みテントを張って一夜を明かしたんですが、すると明くる朝、「アンタ、ここで何やってんの?」と声をかけられて。テントを出てみると、実はそこはその方の家の敷地内で、私は軒下に上がりこんでキャンプしていたんですよ(笑)。
鎌田 ●そうそう、ちょうどヘッドライトが外れちゃっていたのもよくなかったんですよ(笑)。
鎌田 ●でもそのお宅の方がとても親切で、私が迷ってここにたどり着いたと言うと地図で詳しく説明してくれて、しかも修理できるバイク屋さんまで紹介してもらったんです。
鎌田 ●ほかにも失敗談はヤマほどありますけど、とりあえずこれだけで(笑)。
鎌田 ●V-Hのお仕事で現行モデルには何度も乗らせていただいていますが、特に遠くまで走るときに感じるのは「バランスよく走れて頼もしいバイクだな」ということでしょうか。ツーリングモデルはさすがに重くて乗れないけど、故障の心配もなく遠くまで気持ち良く走れるバイクだと思いますよ。ただ、ショベルと比較することはできないですね。というのも、乗り比べたというわけじゃないですけど、根本的に違う乗り物という印象です。なんて言うかな、最新のパソコンとタイプライターぐらい別物って感じかな。便利さや快適さを求めたら、ショベル以前のモデルは選択肢に入らないでしょうから。
鎌田 ●いろいろありますけど、一番印象に残っているのは四国! 高知の四万十川は最高ですね。実は23~24歳の頃にヤマハの広告モデルとして何度かお仕事させていただいて、そのとき初めて四万十川でロケをしたんです。四万十川と沈下橋が描く風景がとても美しくて、「絶対に自分のバイクで来たい!」と思い、その直後にツーリング企画を立てて夢を叶えました。本当に美しい風景で、そのとき以来四万十川へは行けていないんですが、ぜひまた走りに行きたいと思っています。
鎌田 ●ええ、行きましたよ~。せせらぎみたいになるところまで。
鎌田 ●いえ、行っていないです。それって四万十川から近いんですか?
鎌田 ●ぜひ行ってみたいですね!
鎌田 ●えーっとね、私のジャージーさんに対する印象は「(ハーレーダビッドソン)ジャパンの人」です!
鎌田 ●2010年7月に某所で開催されたハーレーダビッドソンジャパン(以下 HDJ)のニューモデル発表会で、HDJ から支給された純正アパレルを着ていたじゃないですか。あの姿を見て「あ、ディーラーの人だ!」って(笑)。
鎌田 ●いやホント、絵に描いたようなディーラーマンでしたよ! 今回のインタビュー記事にも絶対そのときの写真を載せてくださいね。じゃないと掲載OK出しませんから!(笑)
鎌田 ●宝物、ですね。今後も絶対手放すことのない、大切な宝物です。
鎌田 ●いろいろ考えていますけど、これからはオリジナルに戻していきたいと思っています。のんびり走れるようにしたいですね。
鎌田 ●そうですね、VIRGIN HARLEY を見てくれている同じ女性ライダーにお伝えしたいんですが、「女の子はバイクに乗っているときも可愛くいて欲しい」ということ。私も以前は“バイクに乗るためのファッション”を意識していましたが、最近では自然体でバイクライフを楽しみたいと思うようになりました。特に私の場合、ヘア&メイクアップという仕事に携わっているので、女性が持つ可愛さを大切にしたいな、と。やっぱり「女の子はお洒落してナンボ、可愛くてナンボ」ですからね。普段どおりのスタイルでバイクライフを楽しんで欲しいと思います。
竹を割ったようなキャラクター、それがインタビューを終えたときの彼女の印象だった。話にも出ていたとおり、どちらかと言うと男友達の集団のなかになぜか入り込んでいる男勝りな女の子。それも彼女の“おっとこまえ”なショベルを見れば、合点がいくことと思う。“天真爛漫”という言葉がしっくりと似合うマイペースさが気持ち良くある一方で、周囲への気遣いも忘れないなど、彼女が雑誌VIRGIN HARLEYで起用され続けている理由がよく分かった。“日常を愉しむ”ことに全力を注ぐ彼女の魅力を知りながら雑誌を読めば、より記事の楽しさが増すのではないだろうか……なぁんてね。とりあえず再度、四国ツーリングを愉しんできていただきたい。もちろん、“酷道”439号線(通称ヨサク)を避けることなく……。