VIRGIN HARLEY |  鈴木 正次(HOG横浜チャプター会長)インタビュー

鈴木 正次(HOG横浜チャプター会長)

  • 掲載日/ 2008年12月14日【インタビュー】

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HOG横浜チャプターの会長として
そして、ひとりの夢見るバイカーとして

1983年に発足したハーレーダビッドソン本社が運営する「HOG(Harley Owners Group 通称ホグ)」は欧米、アジア、豪州、中近東と世界各地に131カ国、110万人以上(国内3万8000人以上)のメンバーを保有する世界最大のハーレーオーナーのグループである。今回紹介する鈴木さんが2008年1月から会長を務める「HOG横浜チャプター(以下、横浜チャプター)」は、日本でHOGがスタートした1995年から活動を続けている歴史あるチャプター(全国各地に置かれた支部)だ。最近はHOGに参加しないユーザーが増えてきているが、横浜チャプターにスタート時から参加し、現在は会長を務める鈴木さんにHOGの魅力について、そして50歳を過ぎてから始まったハーレーライフについて、大いに語っていただいた。

Interview

世界110万人を越すハーレーオーナーの集い
その国内古参チャプターの3代目会長

ーHOGを知ったのはいつ頃ですか?

鈴木●横浜の丸富オートで初めてのハーレー、1994年式FLSTCを購入したのが1995年で、当時はまだHOGは無く(日本でのHOG発足は1995年7月1日)、その前身のハーレージャパンが主催するオーナーズクラブに入会しました。

ーそういった会員サービスには、どんなメリットがあったのでしょう。

鈴木●会員割引などはありましたが、それは私にとっては付録みたいなものでした。全国各地で行われる催しの案内などの情報が欲しかったんです。入会していれば丸富さんからツーリングのお誘いなどがあり、そういった部分に魅力を感じていました。

ーハーレーがきっかけで広がる輪が魅力だった、と。

鈴木●そうですね。購入前から、そういう会があれば入会しようと思っていました。私はね、仲間同士で行くツーリングが大好きなんですよ。ハーレーに乗る前から仲間とよくツーリングには行ってましたから。

ー横浜チャプターの3代目の会長になった経緯を教えて下さい。

鈴木●横浜チャプターは国内では一番歴史のあるチャプターの一つなんです。HOGが国内に上陸した年に発足して、現在では100名近いメンバーがいます。私も当初からメンバーのひとりでした。そして、2代目の就任が終わろうとしていた頃「会長になってくれないか」という話がまわってきました。でも、私は「老兵は静かに消え去るのみ」という考えでしたから、若手にやってもらったほうがイイと思っていたんです。それでも10回くらい口説かれ、最終的に受けさせてもらうことにしました。それが今年(2008年)の1月のことです。

ー3代目になられて、ご自身としての抱負はありますか?

鈴木●みなさんイイ人達ばかりです。イベントに参加してもらい、一緒に走って話して楽しい時間を過ごす。そんな楽しみを横浜チャプターが提供し、より楽しいハーレーライフを楽しんでもらいたいなと思います。横浜チャプターのために骨を折るのは苦になりません。みんなに楽しんでもらうために私は何ができるか、何をしたらいいかということを日々考えています。

ー鈴木さんが就任されてから、横浜チャプターの運営になにか変化はありましたか?

鈴木●今のところ大きく何が変わったということはありません。まず1年は様子を見て、2年目からどんどん自分の意見で新しいプランを出したり、やり方を変えていってみようかなと。受けた以上は、会をより良くするために、メンバーが一層楽しめるように全力を尽くそうと思ってます。

ー鈴木さんにとって、HOGとはどういった存在なのですか?

鈴木●素晴らしいアイデアだと思いますね。初めてハーレーを買った人でも、すぐに同じ楽しみを持つ似たもの同士がツーリングに行ける。一人じゃなかなか走りに行けないところでも、HOG主催のツーリングであれば、ベテランメンバーがサポートしてくれるので初心者でも不安なく走りに行くことができますから。ルート設定から宿泊先までチャプターが面倒を見るのですが、それを通じて自分で旅をするにはどうすればいいのか、を自然と学ぶことができます。また、よその地域に行っても背中のワッペンを見て声を掛け合うことも珍しくなく、知らない人同士の交流もすぐに生まれるんですよ。HOGの活動はハーレーに乗り始めたばかりの人には非常に役立つと思います。走るきっかけ、仲間と知り合うきっかけがHOGにはあるんですよ。

ハーレーに乗る以外のもう1つの夢
ルート66ツーリングがついに叶った

ーハーレーに乗る前からバイクでの旅が好きだったと聞きましたが。

鈴木●学生時代からヨットをやっているのですが、その移動の手段としてバイクに乗り始めました。学生時代には250ccのバイクにサドルバッグを付け、あちこちによく走りにいってましたね。

ーではハーレーになってからは、旅に出ることが増えたのでは? 走行距離はかなりのものでしょう。

鈴木●1台目のエボリューションのヘリテイジは購入して5年弱で4万4000km。2台目のツインカム88Bのヘリテイジは6年間で10万km近く。そして3台目のツインカム96Bは購入2年で2万kmを超えています。ハーレーに乗り始めてから長距離ツーリングが増えましたね。

ー3台合わせて16万km以上…スゴイ走行距離ですね、全国あちこちを走っているんですよね?

鈴木●北から南まで走り回りましたね。国内での宿泊は200泊を越えてます。それまでは仕事などで自由な時間があまり作れなかったのですが、ハーレーに乗りはじめてからは積極的にツーリングに出るようになりました。気の合う仲間と行く10日ほどのツーリングは最高ですよ。

ーヨットにハーレーにと、家族の反応はどうなのですか?

鈴木●ウチの妻は寛大で、最初にハーレーを買うときこそ少し反対されましたが、乗り始めてからは文句を言われたことはありません。娘には「お父さんは仕事が忙しくて大変だったけど、ヨットやったりバイク乗ったりで好き勝手もやってるからイイ人生送ってるんじゃないの」って言われています(笑)。

ーハーレーの購入は昔からの夢だったそうですが、もうひとつ夢があったとか?

鈴木●ルート66をハーレーで走ることです。ハーレーに乗るずっと前からの夢でした。でも、「きっと無理だろうなぁ」と現実的に考えたことはなかったんです。それがハーレーに乗り始めてアメリカ旅行にも行くようになり、「もしかしたら、本当にハーレーで走れる日がくるかも」と、思うようになっていました。

ー先日、ついに実現したそうですね。

鈴木●最高でしたね! シカゴからサンタモニカまでのルート66を12日かけてハーレーで走破したんです。サンタモニカの街に入り、「あぁここが終着だ」って思ったら、夢が叶ったことを実感して、久しぶりに胸が詰まるような感動を味わえました。何十年も前から「いつかは走りたい!」と思ってたルート66を実際に走りきったんですよ。言葉では説明できないほどの感動でした。

ールート66はかなりの距離がありますから、走破するのは大変だったでしょう。

鈴木●いやぁ疲れましたよ。結構なハードスケジュールだったので、同行した皆さんもバテていましたね。偶然ですが、平均年齢66歳の集団でのルート66ツーリングでしたから(笑)。

ー慌しい旅の中で、現地のHOGメンバーとの出会いがあったとか。

鈴木●テキサスのアマリロという街でHOGのチャプターが集まっているところに偶然でくわしたんです。皆さん「遠くからよく来たな」と大歓迎してくれて、ご飯をご馳走になったりワッペンや帽子をもらったり。他の場所でもイングランドから来ていたマンチェスター支部の人たちとも仲良くなりました。このHOGのワッペンを付けていると、全世界どこへ行っても仲間として声をかけられます。こんな素晴らしき出会いがあったのもHOGのおかげですね。

プロフィール
鈴木 正次
67歳、HOG横浜チャプター会長。1994年式、2000年式、2007年式と3台のFLSTC・ヘリテイジソフテイルクラシックを乗り継ぐ。横浜市役所や関連事業の局長、横浜市港南区長を任期満了して第3の人生を謳歌する派手好きな現役バイカー。

Interviewer Column

50歳を過ぎてから手に入れた念願のハーレーダビッドソン。仕事を全うし、家族を支え続けてきた父親が、第2の人生のスタートとしてハーレーを購入した話を聞くのは少なくない。しかしいくら好きだからといって、初めてのハーレーから約15年で総走行距離16万キロを超える数字は、並のレベルではない。僕も以前は仕事柄、年間で1万キロ以上は走っていたが、ここ最近は…。距離を走ることだけがハーレーの楽しみだとは思わないが、鈴木さんの「走りたい、いろいろなものを見たい」という想いは国内だけではなく、海外ツーリングにも繋がった。この行動力は尊敬に値すべきものだ。「それが夢だったから」と言われればそれまでの話しであるが、その「夢」を叶え、全うできる人はそういない。知り合って間もないのに、こんな若造への度重なるご協力ありがとうございます。たまにはロングツーリングに行きたいと思いました。やっぱり、ハーレーは走らせてナンボかな。

文・写真/佐々木孔一朗
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