空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブエンジン「エボリューション」。1,202ccという排気量に合わせてラウンド型ながら大ぶりなエアクリーナーが備わる。
49mmというソフテイルと同等のテレスコピック型シングルカートリッジ式フロントフォークを備える。スポーツスターファミリーでは唯一の太さで、トリプルツリーも専用設計。伝統のラウンドヘッドライトはボトムマウント型とされる。
トリプルツリーの下にはスクエアのABS(アンチロック・ブレーキング・システム)装置が備わる。
背筋を伸ばすとやや腕が伸びきるが、少し屈めば肘に余裕ができる程度のポジションを求めてくるフラットなバーハンドルも不変。サイドミラーがアンダーマウントされていることで全体的なスタイリングに無駄がなくなっている。視認性は可もなく不可もなく。
1964年式 ハーレーダビッドソン XLCHに採用されていたタンクグラフィックが現代風にアレンジされて復活。カラーはこのラグドゴールドデニムのほか、ビビッドブラック、インダストリアルグレー、ウィキッドレッドデニム、ブルーマックス、スコーチドオレンジ/ブラックデニムの計6色が用意されている。
2016年のマイナーチェンジ時に新しくなったソロシート。デザインとして取り入れられている横溝でライダーのポジションをホールドする目的も含まれているが、その機能はあまり期待しない方がいい。全体的なシルエットは申し分なし。
テールライト一体型のウインカーと組み合わされるチョップドリアフェンダーは全カラーともビビッドブラックで統一されている。同じく黒いキャストホイールなどと合わせると、リアエンドのブラック感たるや。
前後ともに16インチというFLスタイルのフォーティーエイト、2016年以降の足元を彩るのはキャスト型の9スポークホイールだ。ブレーキングシステムはシングル仕様。
水平に突き出された銃口のようなエキゾースト、真っ黒な本体の上にクロームカバーが備わるツートーン仕様に。ECMとともに日本の排ガス規制値に合わせたセッティングとなっており、ノーマル時のサウンドは実にジェントル。
ファクトリーカスタムモデルのアイデンティティと言ってもいいフォワードコントロール仕様のステップ。フォーティーエイト操作のキモはここにあると言っても過言ではない。
今やスポーツスターモデルには標準装備となったプレミアムライドエマルジョンサスペンション。長さは11インチ仕様だ。
2017年よりさりげなくバージョンアップされた鍛造型スプロケット。リアホイール周りをすっきりと見せるカスタム感あるディテールだ。
他メーカーのモデルと見比べていただければ、ある意味ライディング云々とは真逆を目指しているかのようなバイクである。乗り心地は極端で、オーナーとなって乗り始めた序盤は気疲れすることも少なくないだろう。しかしそれを差し引いても余りある独創的なスタイルが人々の目を惹きつけるのもまた事実で、ノーマルのスタイルを第一歩にオンリーワンな一台を目指すことにアイデンティティを秘めてもいる。「オートバイとはこうでなきゃいけない」という縛りをことも無げに一蹴するフォーティーエイトに惚れてしまったら、あとはもうともに走り出すのみ、だ。