ハーレーでは珍しいクリップオン式のセパレートハンドルが採用されていて少し戸惑うが、グリップ位置は高く、上半身は緩やかに前傾気味になる程度。ステップは両足を前方に投げ出すようにして乗るフォワードコントロールで、ヒザが伸びきってしまうほど足の置き場が遠くはないか心配になるが、緩やかにヒザは曲がってペダルは決して遠くない。ただしカラダが“く”の字になり、決してリラックスした姿勢とは言えない。これはブレイクアウトやV-RODなどでもお馴染みのライディングポジションで今さら文句を言おうとは思わないが、ジャストフィットする体格は日本人にはなかなかいないはずだ。
エンジンはやはりパワフルだ。アメリカならではの粗悪なアスファルトは、ミルウォーキーエイト114のビッグトルクを受け止めきれず、停止した状態からアクセルを乱暴にワイドオープンすると240mmのワイドタイヤが一瞬空転してしまうほど。すぐにグリップを取り戻すが、最大トルク160Nmを発揮する3500rpmまで引っ張ってからシフトアップしていくと、5インチディスプレイが示す速度はあっという間に制限速度をはるかに超えていってしまう。加速力は痛快なほど強烈だ。
長いホイールベースを活かして、直進安定性も申し分ない。真っ直ぐに続くアメリカの道をFXDR114で走ると、胸の空く思いである。ミルウォーキーにて開催された115周年セレブレーションイベントではドラッグレースが公式プログラムにあり、フルノーマルのFXDR114が登場し、プロライダーのライディングによって1/4マイルを駆け抜けたが、その猛ダッシュに観客らは驚きを隠せなかった。