ドラッグレーサー然としたスタイリングに仕上げられているが、なんといっても車体が長い。1735mmもホイールベースがあるのだ。たとえば現行の『ブレイクアウト』も同じレイク角34度でフロントフォークをセットするが、ホイールベースは1695mmでFXDRより40mmも短い。ロー&ロングのドラッグレーサースタイルといえばV-RODだが、『ナイトロッドスペシャル』と比べても30mmほどFXDR114が長さで上回るのだ。
これは新設計のアルミ製スイングアームの影響で、ついに高剛性の頼りがいのあるものを作ったかと嬉しくなってしまう。リジッドのフレームワークを再現した三角形状のスイングアームはソフテイルの伝統であり、見た目に美しいが、いざ走りの面では華奢がゆえに高荷重には耐えられなかった。それを新型は軽量かつ剛性を上げ、バネ下重量の軽減に貢献。鍛造アルミホイールといい、マスの集中を果たした2in1マフラーといい、飛躍的に運動性能を高めていることは誰の目にも明らかな車体としている。
エンジンに目が釘付けになる人もいるだろう。大きく張り出したエアインテークを目の当たりにすると、デザイナーはスーパーチャージャーやターボバイクで初期スケッチを描いたのではないかと想像してしまう。吸入口にはエレメントが剥き出しのまま装着され、つまりは巨大なエアクリーナーケースであることがわかる。迫力満点なパワーユニットに、興奮せずにはいられないのだ。