VIRGIN HARLEY |  ソフテイルファミリー唯一のファクトリーチョッパーであるFXBBストリートボブ試乗インプレ

ソフテイルファミリー唯一のファクトリーチョッパーであるFXBBストリートボブ

  • 掲載日/ 2019年01月16日【試乗インプレ】
  • 取材・写真・文/田中 宏亮

FXBBの試乗インプレッション

軽快でスポーティな走りを実現した
このチョッパーをどこまで操れる?

fxsbの画像

早速バイクにまたがり、腰の動きだけで車体を起こしてみると……軽い。2017年式ダイナ版ストリートボブとスペックを見比べてみるも、加重時シート高はともに同じ、最低地上高も2mm違いという誤差レベル。つまり車体のディメンションはほぼ変わっていないので、-6gの軽量化による恩恵というわけだろうか。

確かに6kgという数字は決して侮れないものだが、「軽くなった」と何の気なく思えるほどの違いを感じさせてくれるのは大きい。重心バランスの良さを感じさせてくれる側面だ。惜しむらくはシートの幅広さ。身長174cmの筆者だとさほど気にならないレベルでのガニ股ベタ足だが、小柄な人になればなるほど足が外に開きがちになり、足つきは悪くなるばかり。プライマリーカバーがやたらと出っ張っているところは見過ごすとして、シートの股間部分をもう少し細身にすれば、足つきはもちろん取り回しもより快適になるだろう。

fxsbの画像

スタンドを払い、ハンドルに手を伸ばす。「ハーレーしか付けないよなぁ、こんなハンドル」と嘯いてしまうエイプハンガーは肩の高さほどまで腕を持ち上げ、普段乗るオーソドックスなバイクのそれとは異なる”力の掛け方”を求めてくる。クセこそあるが、コントロールできないような仕様ではない。むしろ”押し引きの妙”を体感するうえで意外なほど学びが多いポジションで、「ハンドリングは力任せにやるんじゃない」ことを教えてくれる設定でもある。

そのキモともなるのが、ミッドコントロール位置のステップだ。真下に向かってしっかり踏み込めることで、コーナリングなどでオートバイをバンクさせる(倒し込む)のに適切な加重がかけられる。ハンドリングはあくまで”バイクの進行方向”を決めてやるもの、いかに腕に力を入れずに適切なスロットルワークができるか。そこで気になるのがハンドルポジションだ。

fxsbの画像

肩ほどの高さまで持ち上がるエイプハンガーゆえの難点は、レバー位置が遠くなること。またハーレーの場合、他メーカーのバイクと違ってレバーそのものが幅広になっている。ハンドルポジションが遠い分、指先だけでレバーを操作せねばならないのだが、これが長距離走行になるとどうしても疲れてきてしまう。今回冷え込み始めた東京〜館山間の往復200kmほど試乗したのだが、寒さで指先がかじかんでくるとどうしても操作が難しくなってきた。ツーリングでの使用を主とするオーナー候補には、このレバー部分を細身のタイプに換えることをオススメしたい。

真っ直ぐなハイウェイでスロットルを捻れば、軽量化されたストリートボブに搭載されたミルウォーキーエイトエンジンが水を得た魚のように力を発揮。ツインカムエンジンのときには味わうことがなかったスポーティな出だしとともに心地よく加速していく。チョッパーライクなクルーザーモデルには似つかわしくないほどのスピード感で、カーボンスチール製の新型ソフテイルフレームが実現するスポーツバイクのようなしなやかな性能と相まって、ダイナファミリーの頃とは異なるパフォーマンスを体感させてくれる。

fxsbの画像

ストリートシーンでのテストでは、3速域までで十分乗りこなすことができる。逆に言えば、こと混雑する都心においてそれ以上のギアに入れる機会はそうそうない。アメリカの街中以上に細く入り組んだ日本の都心はストップ&ゴーも多いので、以前に比べて軽やかでスポーティになったとはいえ、今なおオーバースペックな感は否めない。それもあくまでストリートシーンにおいての話なので、オーナーが用いるシーンではその性能が十分発揮されるバイクでもある。

このテストライドにおいて、シートに関してもうひとつ気になったのが、表皮の滑り具合だ。滑らかな合成革を使用していることから比較的滑りやすく、その美しさとは対照的にシートポジションが定まらない。こうポジションが移動しやすいと、ライディング時に疲労が溜まりがちになってしまう。気になる人は滑り止めの表皮が使われたシートへの変更を検討してみてほしい。

ストリートボブの詳細写真は次ページにて
1234
ピックアップ情報