前後16インチの足まわりで、ディメンションは『フォーティーエイト』とまったく変わらないが、低いハンドルで操作したスタンダードはコーナー進入時に車体を寝かし込むのに、積極的な体重移動あるいはハンドルへの入力が求められた。それがグリップ位置が高くなった『フォーティーエイトスペシャル』では軽減し、自然に車体が倒れ込んでいくから、よりスポーティに走れる。
もちろん、実際のオートバイの操作ではハンドルを意識的に切って曲がることは少なく、セルフステアリングを利用して旋回していくわけだが、ハンドルがシートやステップ同様に荷重入力のポイントとなることもまた事実であり、アップライトなハンドルのスペシャルでは結果的にステアリング操作が軽くなっているのだ。低く構えたセパハンより、高いバーハンドルの方が上から操りやすいと感じる、あの感覚に似ている。
太いタイヤは車体を寝かし込んでからもグリップ感がしっかりあって、旋回時も落ち着きがあり、そこにきてハーレーならではのリア荷重だから小径16インチであってもフロントから滑るという不安感はまったくない。低重心で安心して車体を右へ左へ操れる。これは一緒に走ったタイやマレーシアといったビッグバイクにあまり慣れ親しんでいないジャーナリストらも口にしていた。前後サスのストロークが短く、ハードに攻め込んだときの限界点は低いものの、ビギナーらには低く構えているという安心感がアドバンテージとなり、よりアクセルを開けられたり、よりリラックスして走れるプラス要素となるのだ。