エボリューションエンジンの鼓動に揺られながら、中世の面影を色濃く残すのんびりとした風情漂う港町をいくつか通り過ぎると、コーヒーブレイクの時間となった。出発してからまだ1時間ほど。休憩にはまだ早い気がするが……。
すると、テストライドに同行するH-D社プロダクトプランニング・ディレクターのポール・ジェームスさんが言う。「今日はスポーツスターのオーナーたちがするようにしよう。急がず、時間をかけて走ろうよ!」。
なるほど、アイアン1200を購入するオーナーの気分になってリアルなツーリングを楽しもうという提案だ。ストリートをゆっくり流したり、これから行く山岳部でワインディングを楽しもうという彼らの誘い、大賛成である。
カフェラテを時間をかけて飲んだら、さぁ、いよいよタイトコーナーの続く山岳路だ。ミニエイプバーで拳を突き上げて乗るライディングポジションは、景色を眺めながらノンビリ走るにはうってつけだったが、アグレッシブな走りにも意外なほど対応した。
そこはさすがスポーツスターだ。ミッドポジションのステップとソロシートはスポーティなライディングを「待ってました!」と言わんばかりで、ステップへの入力、あるいはお尻をイン側へ少しずらせば車体は素直に寝て、ステップ裏のバンクセンサーが面白いように路面を擦っていく。それでも車体は安定性を失わず、そこからまだまだ深く寝かし込んだままコーナーを立ち上がっていける。旋回性が高く、コーナーが楽しいのだ。