ギラッと輝くクローム仕様の1202ccエンジンに、前後16インチスポークホイール、専用の砲弾型ヘッドライト & バイザー、メーター一体型ライザー、17リットルという容量のフューエルタンク、専用デザインのテールランプなど、各所に細やかな個性を与えられた1200カスタム。キャラクターという点ではフォーティーエイトやロードスターの方が際立っているが、1200カスタムはその存在意義をブレさせることなく、20年以上もラインナップを飾り続けている。
1200カスタムがデビューしたのは1996年と、今から22年前。当時は現在のラバーマウントスポーツスターの一世代前にあたるリジッドスポーツスターの時代で、ラインナップもXLH883やハガー、XLH1200というシンプルなモデルが並んでいた。一方、メーカーがカスタムしたモデル「ファクトリーカスタムモデル」という考え方はそれ以前からハーレーにも存在し、リジッドスポーツスターへの最初のアプローチとして誕生したのがこの1200カスタムだった。
当時の1200カスタムは、今のスタイルとはかなり異なるものだった。高級感あるクローム仕様のエンジンやメーター一体型ライザー、砲弾型ヘッドライトといった各パーツは変わらないが、フロント21 / リア16インチホイールにフォワードコントロールステップと、数年前までラインナップに残っていたXL1200V セブンティーツーによく似たチョッパースタイルとされた。
現在の1200カスタムは2011年にマイナーチェンジをしたもので、同年にデビューしたファーティーエイトの流れを組んだ前後16インチホイールのボバースタイルが基本となっている。タンクはビッグサイズになり、よりフォーティーエイトとの差別化を意識したニュートラルなボバーモデルへとバージョンアップを果たしたのだ。
ファクトリーカスタムの先駆者ではあるが、より強烈な個性を放つフォーティーエイトやロードスターといったモデルと比べると、やや地味な印象を持たれる方もいるだろう。だが、「スタンダードなモデルをどうカスタムするか」を楽しむハーレーダビッドソンの世界を振り返ると、この無垢なスタイルこそカスタムのベースモデルに向いているとも言えるわけで、ボバースタイルでありながらフォーティーエイトには与えられないオリジナリティを持たせることも可能なのだ。
2011年から基本的な姿は変わっていないが、あれからフロントフォークやリアサスペンション、ブレーキングシステム、ABS搭載などフットワーク系が大幅に進化した1200カスタム。その進化を体感すべく、インプレッションへと進んでいこう。