「100万円を大幅に切るハーレーダビッドソン」として、ストリート750が日本上陸を果たしたのが2014年のこと。かつてスポーツスターXL883が88万3,000円で販売された時代もあったがそれも遠い昔のこと。新型の水冷Vツインエンジン「レボリューションX」を心臓に、よりストリートシーンをイメージしたニューモデルとして登場したストリート750は俄然注目を集めた。
1,500mmを超えるロングホイールベースにビッグタンクと、どちらかと言えばまだクルーザー色が強いストリート750をよりアーバンライドなモデルへとカスタマイズしたストリートロッド。この「ストリートロッド」という名前を聞いて、かつて2006年と2007年モデルとしてラインナップされたVロッドファミリーの「ストリートロッド」を思い浮かべた人は、かなりの近代ハーレー通と言っていい。残念ながら、その同名モデルとの関連性はないとのことだ。
さて、その新ストリートロッドだが、スタイリングやディテールに大幅な手が加えられているところが興味深い。圧縮比が上げられたレボリューションXエンジンに、ホイールサイズが前後とも17インチへと変更されている(ストリート750はフロント17 / リア15)。このホイールサイズは他メーカーが輩出するスポーツバイクと同じ設定で、専用の倒立式フロントフォークにリザーバー付きリアサスペンション、そしてフロントがダブルブレーキングシステムへと進化。ことフットワークに関しては、ベースモデルを大幅にしのぐワインディング仕様と評していい。
前後サスペンションに合わせてシートカウルも専用設計のパーツとされ、これによってシート高も720mmから765mmへと大幅アップ。現ラインナップでハーレーを代表するスポーツバイクにXL1200CXロードスターが存在するが、こちらが785mmと2センチも上を行く。それに次ぐシート高という点から、ライディング時のバンク角を意識したキャラクター設計であることは想像に難くない。
そのシートと組み合わさるステップとハンドルに注目してほしい。まずステップだが、ストリート750と同じミッドコントロール仕様ながら、バンクセンサーが搭載された新設計なところもキャラクターを強めるディテールだ。さらにハンドルバーは、意外にも一本もののドラッグバー仕様とされる。スポーツバイクであるなら曲げが入ったニュートラルなものかセパレートハンドルが想像されそうなところだが、そこはやはりハーレーダビッドソン。そう、1970年代を代表するハーレー版カフェレーサー「XLCR」もドラッグバー仕様なのだ。そういう意味では、ベースモデル以上にXLCRを意識した一台と言えよう。
このストリートロッドで見逃してはならないのが、レイク角だ。ストリート750の32度に対して、ストリートロッドのそれは27度と、グッとフロントが手前に来るような設計となった。これによってホイールベースは短くなり(ストリート750:1,520mm / ストリートロッド:1,510mm)、コンパクトなライディングが楽しめるように。リアホイールのサイズアップも相まって、ストリート750と見比べるとボディそのものが引き締まった印象さえある。
現代版ロードスポーツに欠かせないフットワークを付与しつつ、XLCRへのオマージュとも思えるディテールを各所に与えられたストリートロッド。いよいよこのマシンで街へと繰り出してみよう。