FXFB ファットボブの詳細写真
HARLEY-DAVIDSONカンパニーがNEWソフテイルのテストライドコースに設定したのは、大小様々なコーナーが続くワインディングであった。これが意味するところはズバリ、飛躍的に向上したファットボブのコーナリング性能をジャーナリストらに一番に知ってもらいたいという狙いがあったからだ。
目を惹くのが、角は丸いがほぼ角目と言っていいファットボブのLEDヘッドライト。黒いナセルにセットされ、厳ついフロントマスクを形成。見る者に強いインパクトを与える、ファットボブは特徴のあるフロントマスクとなった。
前後16インチのアルミ製キャストホイールに、ダンロップD429/Fを履くファットボブの足まわり。ダブルディスク仕様のブレーキはソフテイルファミリー唯一となり、4ピストンキャリパーとフローティングディスクが組み合わされる。倒立フォークのインナーチューブ径は43mmだ。
ファットボブのハンドルはほぼ一文字に見えるが、実際にはライダー寄りにラウンドし、グリップは遠くない。乗り手の上半身は若干の前傾姿勢となり、跨った途端にアグレシッブな走りを予感させる。電子制御スロットルが採用されるが、クラッチは油圧ではなく機械式ケーブル。
ファットボブの容量13.6リットル新型燃料タンク。コンソールには4インチメーターがマウントされ、指針式のタコメーターがメイン。小型液晶画面にて、速度やギア段数、燃料残量、オド、トリップなどを表示する。
写真は114ci(1,868cc)ミルウォーキーエイトエンジン。乾式エレメントを露出したハイフローエアクリーナーがセットされ、マッピングも最適化されているハイパワーモーターは、3,000rpmで最大トルク155Nmを発揮する。
ラバーマウントフレームのツーリングファミリーでは、カウンターバランサーはシングルにとどまっていたミルウォーキーエイトエンジンだが、リジッドマウントのソフテイルファミリーではバランサーをデュアル化し、振動対策を講じているのも見逃せない。
剛性を65%も向上した完全新設計のソフテイルフレーム。バックボーンやネック部が強くなっているが、旋回性に支障をきたすということはなかった。ファットボブの前後サスペンションは効率よく稼動し、むしろコーナリング性能を飛躍的に向上している。
ファットボブのシート下にあるモノショックにはハンドアジャスターが備わり、プリロードを5段階調整できる。ファットボブとヘリテイジクラシックには、ストローク量の多いリアサスペンションが与えられ、走りのポテンシャルが高められた。
ファットボブのシートはクッション厚が充分にあって座り心地、ホールド性ともに申し分ない。コーナーでお尻をイン側へずらすようなスポーツライディングでも表皮が滑るようなことはなく、グリップの良いシートとなっている。
リアエンドへ向かって跳ね上がるように角度がつけられたファットボブの2本出しマフラー。バンク角を稼ぐとともに、ミルウォーキーエイトエンジンの歯切れ良い排気音を元気良く奏でる。専用のヒートガードも目を惹くポイントとなった。
こんな方にオススメ
既存のソフテイルがイマイチだと思っていた人
ファットボブなら考えが変わるかもしれない!!
「ビッグツインでもスポーティに走りたい」という要望は、これまでダイナファミリーが叶えていたが、メインフレームの剛性を上げてモノサス化し、さらに軽量化を実現したニューソフテイルファミリーがこれからはその役目を担う。
ただしヘリテイジクラシックやデラックス、ソフテイルスリムといったFL系は従来どおりの安定志向の乗り味を残しつつ走りの性能を高めており、スポーツ路線としてこのファットボブが設定されている。
ミルウォーキー(H-D本社)のマーケティング担当に話しを聞くと「これまでのソフテイルは少し偏っていた」という。つまり、新生ソフテイルはキャラクターの棲み分けをより明確にし、従来のトラディショナル路線だけでなく、ニューファットボブのようなスポーツモデルも登場させたというわけだ。
軽快なライドフィールが示すとおり、クルーザー然とした乗り味だけでは物足りないという人に、ファットボブはオススメしたい。冒頭で書いたとおり、従来のソフテイルとはもっとも乗り味が違う。ソフテイルに満足していなかった人、ぜひファットボブを試乗して考え直していただきたい。