結論から言ってしまうが、新しく生まれ変わったソフテイルファミリーのなかで、いちばん気に入ったのがこのファットボブだ。身のこなしが軽く、コーナリング性能が高い。前後サスペンションが低い速度域からよく動き、車体がスポーツバイクのように前後方向にピッチングする動きを見せるファットボブ。
ファットボブのライドフィールという点だけで言えば、従来のドッシリと落ち着いたソフテイルとは、もっともかけ離れていると言っていいだろう。これまでのような、低重心で安定性重視の乗り味を求めるライダーにとってファットボブは、もしかしたら戸惑いを感じるかもしれない。「従来型とはまるで違う」と乗り手に感じさせるほどのスポーティさを、このモデルには持たせてあるのだ。
そもそも、ショックアブソーバを水平配置する旧ソフテイルでは、リアサスペンションがどのくらい動いているのかを乗り手が感じ取ることは難しかった。それほどにストロークの動きは緩やかで、かつ硬質なものであった。ハイスピードのまま大きな段差を乗り越えれば、ダンパーが衝撃を吸収しきれずに突き上げを食らうことになったのだが、モノショック化したニューソフテイルのファットボブには、それがない。
ファットボブにはストロークの長いサスペンションが与えられ、倒立式フロントフォーク、剛性の上がったフレームとのバランスが特に良く感じる。駆動輪にしっかりとトラクションがかかり、安心してアクセルを開けていける。カルフォルニアの大自然がつくりだした難コースも、かなりのハイペースで駆け抜けることができた。