ストリートグライドがラインナップに登場したのは2006年、ハーレーの上位モデルがキャブレターからインジェクション化しつつある時期だ。デビューまもないストリートグライドはエンジンがツインカム88(!)で、前後16インチのままローダウンした簡素な仕様に。同年のエレクトラグライドとの違いがわずかしかない程度のキャラクターだった。
目指したのは、バガーカスタムのベースモデルとして、だ。バガーとは、ハーレーのツアラーモデルに代表されるメガツアラーをゴージャスかつソリッドにカスタムするスタイルのことで、ギラギラした豪華絢爛なグラフィックに仕上げたり、なかには30インチを超えるフロントホイールを備えるカスタムモデルまで存在する。ストリートグライドが登場するまではウルトラやエレクトラグライド、ロードグライドなどがベースモデルとして用いられていたのだが、そうしたムーブメントに目をつけたカンパニーが「ならば」と、よりバガー向けのモデルとして考案したのがこのモデルなのだ。
2009年には前後17インチ化したウルトラに規格を合わせ、フロント17 / リア16インチというホイールサイズに変更。2012年モデルではフロント18 / リア16インチ化、2014年にはフロント19 / リア16インチと、ストリートグライドは年を追うごとにキャラクターを強めてきた。2015年に登場したストリードグライドスペシャルは2018年にはフロント19 / リア18インチと、クラシックスポーツバイクのそれと同じ仕様となり、豪華さはそのままにスポーツライドを楽しめる文字どおりスペシャルな一台として登場。そして今回のCVOストリートグライドは、そのストリートグライドスペシャルをベースに一層バージョンアップされているのだ。
エンジンはご存知スクリーミンイーグル印の「ミルウォーキーエイト117ci」(排気量1,923cc)で、フルクロームにボディカラーの一色がアクセントとして入るCVO仕様。ランチボックススタイルのエアクリーナーカバーに描かれた「117ci」の文字が誇らしげだ。
無駄のないチョップドスタイルというよりはマッシブなスタイリングだが、その分最上位のスポーツライドを約束する仕様であると言える。エンジンのシリンダーヘッドにまでボディカラーの一部が塗装されているのが心憎い。
6つのスピーカーがこれ以上ないサウンドを楽しませるオーディオ機能「Boom!™ Box 6.5GT」が備わるのはもちろん、ヒーテッドシートおよびヒートグリップが標準装備される。グラフィックもCVOオリジナル仕様で、サメの歯をほうふつさせる専用ホイール「コントラストクロームタロン」も個性を強めるディテールだ。純正LEDヘッドライトが標準装備なのも嬉しいところ。
そんな豪華装備でおごられたCVOストリートグライド、排気量2,000cc一歩手前のバイクを街で、ハイウェイで乗るとどうなるのか……。ボディサイズ、重量、エンジンパワーともにオーバースペックなのは明白なこのモデルでいろんな場所を駆け回ってみた。