XG750A ストリートロッドの詳細写真
HARLEY-DAVIDSONのアジア・パシフィックの拠点となるのがシンガポール。ニューSTREET RODのプレスローンチが4月下旬に開催された。写真は第1WAVEとなったインドのメディア陣に向けた技術説明会の様子。
まず目をひくのが、アグレッシブなフォルムを生み出している新作エクステリアパーツたち。ヘッドライトにセットされるスピードスクリーンは車体色と同じカラーで塗られ、フォルムもエッジが効いてスタイリッシュだ。
インナーチューブ径43mmの倒立式フロントフォークに、2ピストンキャリパーと300mmディスクローターをデュアル装備。7スプリットのオープンスポークキャストアルミニウムホイールは前後17インチだ。
200km/hまで目盛りが刻まれた単眼スピードメーターには、小型液晶画面が埋め込まれ、時計やオド/トリップメーターを切換表示できるほか、ギア段数とエンジン回転数もディスプレイすることができる。
ミラーはバーエンドにマウントされ、後方の視界を確保した。タイトになったライディングポジションに対応したカスタムがルーツだが、フロントまわりのアクセントとして見る者を惹きつけるポイントとなっている。
ストレッチされたフューエルタンクは、STREET750と同形状のスチール鍛造製ティアドロップタイプ。容量3.5ガロン(13.1リットル)を確保し、キャップにはキーロックが付属する。スピード感あふれるグラフィックが施された。
圧縮比を高めた水冷Vツインは、ブラックアウトされるなか僅かにシリンダーフィンに施されたポリッシュ仕上げのメタルの質感がコントラストを生み高級感が漂う。カムや吸気ポートが見直され、最高出力を18%、最大トルクを8%向上した。
吸気効率が向上した新形状のエアクリーナーボックスは、ドラッグレーサーのスーパーチャージャーをイメージしたフォルムに加え、「750」であることを主張している。スロットルボディのボア径は38mmから42mmに拡大された。
専用開発されたシートは、強烈なダッシュにもライダーが堪えられるよう後部座面が1段上がったホールド性に優れる形状。シート高はSTREET750では720mmだったが、ホイールの大径化とサスストロークのロング化によって765mmに上がっている。
ピギーバックショックを装備し、走りの次元を飛躍的に向上。デザインを担当したH-D社のチーフデザイナー、チェタン・シェジャル氏によると「赤いスプリングでスポーティな走りを視覚的にアピールした」とのこと。バー&シールドが入った専用パーツも随所に見られる。
テールライトやターンシグナルはLED式とし、被視認性に優れる灯火類とした。跳ね上がるテールエンドもまたデザイナーのチェタン氏がこだわったシルエット。アグレッシブなスタイルを表現するために、シートカウルとリアフレームを刷新している。
ショート化された2in1マフラーは、サウンドも迫力のあるものとなっている。エキパイからサイレンサーに至るまですべてをブラックアウトとし、ダークカスタムの車体にマッチさせた。そんななか赤いスプリングが存在感を際立たせているのも目をひくポイントだ。
シンガポールのメディアローンチで、スタイリングについて説明したH-D社のデザイナー、チェタン・シェジャル氏。車体のアグレッシブなスタイルに加え、ライダー自身がスポーツマインドを跨った瞬間に感じられるようライディングポジションも徹底追求したことを明かした。
HARLEY-DAVIDSON モーターサイクル プロダクト プラニング ディレクターのピーター・ケプラー氏はプレスローンチで、「2015年および16年の米国におけるスモール・クルーザー市場(601~1,200cc)においてSTREET750の販売台数は全ての競合に勝るものでした」と好調なセールであったことを発表した。
新型STREET RODのメディアローンチは、スペインでも同時開催された。ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、日本といった成熟したマーケットはもちろん、アセアンやインド、ブラジルなどもターゲットにした世界戦略であることがうかがえる。
こんな方にオススメ
ビギナーにもやさしいフレンドリーな一面が魅力だが、
このポテンシャルの高さは上級者も夢中になること間違いなし!!
もちろん、都会に住む若者たちがメインターゲットして開発されていることもあり、ストリートでのイージーライドも得意。気兼ねなく乗れる扱いやすさがあって、交通量の多い都市部の道も苦にしない。取り回しも軽いし、身長175cmの筆者だと足着き性も申し分ない。バーエンドミラーは左右に張り出していて、後方確認がしやすいことも付け加えておこう。
ワインディングではパワフルになったエンジンをギャンギャン回し、スポーツライディングに明け暮れたくなった。そう思わせたのは、足まわりの良さが軽快なハンドリングを生み出しているからで、これはストロークの底でしっかり踏ん張る前後サスペンションの働きもさることながら、STREET750では33度に寝かせていたフォーク取り付け角を27度にまで起こしたことが大きく関わっている。そう、STREET RODでは前後17インチ化に伴い、ディメンションも見直すというシャシーへのこだわりが開発エンジニアたちにはあったのだ。
これほどにワインディングが楽しいと、ビギナーがライディングを学ぶにはうってつけだし、上級者も飽きないはず。STREET RODは力強さを増したエンジンも魅力だが、このアドレナリンあふれるスポーティなハンドリングこそが、大きな魅力だと言いたい。