ハーレーダビッドソンにはCVO(Custom Vechicle Operations=カスタム・ビークル・オペレーションズ)という純正カスタムパーツとアクセサリーを予めふんだんに組み込んだ受注生産のファクトリーカスタムがラインナップされるが、その1つがCVO ストリートグライドだ。エンジンは専用となる「ミルウォーキーエイト114」を2017年モデルから初搭載。妥協は存在しないプレミアムモデル、その魅力に迫ろうとアメリカ・ワシントン州オリンピックナショナルパークにて2日間400マイル(およそ640km強)のテストライドに出かけた。
これぞ究極のホットロッドバガー。見る者を圧倒する手の込んだカスタムペイント、隅々まで磨き込まれたカスタムパーツ群、パワフルな走りを実現する新生ミルウォーキーエイト114、そこにもはや死角は一切ない。
カスタムトレンドをリードする美しいエクステリア、強力なエンジン、グレードアップした前後サスペンション、すべてが完璧なまでに追求され尽くしたものだが、CVOストリーグライドの魅力はオーディオシステムにもある。
カーボンファイバーのコーンウーファー、ポリプロピレンファイバーのドームミッドレンジ、アルミニウム製ドームツイーター、なんと12基ものスピーカーをインストール。どんな速度域でも乗り手の耳にクリアなサウンドが届くよう瞬時に音量を自動調整し、さらにバスとトレブルのバランスを最適化するインテリジェントなオーディオシステムを搭載。
そしてそのコントロールは、インナーフェアリングに埋め込まれる6.5インチのタッチパネル式カラーディスプレイで自在に操作ができる。300W×2、合計600Wの8チャンネルアンプでドライブされる迫力のサウンドが、ライディングしながらいつだって楽しめるのだ。
手の込んだカスタムペイントや高級感あるパーツ群には惚れ惚れするばかりだが、見て満足するのではなく、その真価は豪快な走りのなかにある。
なんと言っても、その心臓部は114キュービックインチ=1,846ccもの排気量を持つミルウォーキーエイト114。低中速の図太いトルクは圧倒的で、クラッチを繋いだ途端、巨体を悠然と加速させ、一気にクルージングスピードに到達。そこからは、もう見たときに感じるボリューム感はなく、軽やかな操作フィールとなるから面白い。
フロント周りで強い存在感を放つバットウイングフェアリングはウインドプロテクション効果が高く、ショートスクリーン化されていても乗り手は余裕のハイウェイクルージングが楽しめる。
エンジンに一次振動を75%低減するカウンターバランサーが内蔵されたことと、前後サスペンションをグレードアップしたことで乗り心地が良いのも特筆すべき点。SHOWA製のデュアルベンディングバルブ・フォークとハンドアジャスターを備えたリアショックは、ハイスピードで大きな段差を乗り越えても衝撃をしなやかに吸収し、高い路面追従性を発揮した。
そしてギアが滑らかなに噛み合うシフトフィーリングや、ブレンボ製ブレーキシステムの上質なタッチやコントロール性の高さは、さすがはCVOと言えるものだ。