今年ついにFXDC スーパーグライドカスタムがカタログ落ちし、ダイナファミリーの中でもっともポピュラーなモデルと見られるようになったFXDB ストリートボブ。一昨年、このストリートボブをベースにカスタマイズされた限定モデル FXDBA ストリートボブ リミテッドがラインナップを飾ったが、今回そのリミテッドが新しい姿となって再登場することとなった。ベースモデルと見比べると随分と攻撃的になったFXDBB ストリートボブ リミテッドの魅力をひも解いていこう。
ストリートシーンにおけるカスタムスタイルはさまざまだ。ストリートボブの魅力と言えば、カスタムせずともハーレーダビッドソンらしさを醸し出すチョッパーライクなスタイルで、ポジションも比較的コンパクトなので平均的な日本人でも扱いやすいモデルということが挙げられる。ところがこのリミテッドは、ベースモデルのテイストをまったく覆すようなスタイルへと変貌していた。
幅広のドラッグバーにフォワードコントロール、そしてシャープなシルエットと、スタイルそのものが訴えかけてくるテーマ性はストリート版ドラッグレーサーのそれ。アメリカ本国ではFXDF ファットボブがフォワードコントロールとされるのだが、同モデルと同じドラッグバーにステップ位置というところから、ファットボブの性質がそのままストリートボブに移植されたかのようだ。
ビンテージフォントでHARLEY-DAVIDSONと刻まれたダブルシートは流麗なラインが特徴的で、テールランプ一体型ウインカー採用によるチョップドリアフェンダーとの組み合わせにより、車体は美しいシルエットを描いている。これでフロントがダブルディスク化し、トミーガンマフラーを備えていればよりアグレッシブな印象を醸し出せたのでは、と思うところだが、ここから先はオーナーのオリジナリティに委ねられているのだろう。フロントホイールは、2012年までラインナップされた頃のFXDL ローライダーのものとされている。
ご覧のとおり、ライディングフォームは攻撃的かつタイトなもの。印象としてはVロッドのそれに近いものを感じるだろう。実際、体は自ずと“くの字”を描くレーシーなものとなり、ツインカム96エンジンのトルク感とあいまってロングストレートでは大いに気分を高揚させてくれる。一方でコーナリングは得意科目ではないようで、ブレーキングを含めてやや意識してのチャレンジを強いてくる。ただ、そうしたじゃじゃ馬なところこそこのリミテッドの魅力と言えよう。
ベースモデルのFXDB ストリートボブとは“似て非なる”無駄が削ぎ落されたストリートドラッガー、FXDBB ストリートボブ リミテッド。チューニングによってエンジン性能をさらに引き出してやり、そのうえで自分色にカスタムしていけば、パワフルな走りが楽しいモンスターツインへと化けていくことだろう。他にないオリジナリティを求めたい人にはうってつけの一台だ。