VIRGIN HARLEY |  ハーレーの一番人気を誇るXL1200X フォーティーエイトを試乗インプレ!ワイルドなスタイリングとファニーな乗り味は健在試乗インプレ

ハーレーの一番人気を誇るXL1200X フォーティーエイトを試乗インプレ!ワイルドなスタイリングとファニーな乗り味は健在

  • 掲載日/ 2020年06月25日【試乗インプレ】
  • 取材協力/HARLEY-DAVIDSON 取材・写真・文/小松 男
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HARLEY-DAVIDSON XL1200X (2020)
スポーツスターファミリーきっての人気モデル。その魅力はスタイリングだけでなく、特有の走り、そして日常生活そのものを変化させるほどの野性味が肝となっている。

半世紀以上にも及ぶスポーツスター史において、
その存在をしっかりと根付かせることができた名車

スポーツスターの前身であるモデルKから数えて68年、アイアンスポーツスターからでも63年という長い歴史を持つスポーツスター。ミッションケース一体型のVツインエンジンをコンパクトなフレームに収め、リアにツインショックを備えるという構成は当時から不変だ。ダートトラッカーやロードレーサーとしての活躍や、ストリートカスタムベースとしても重宝され、様々なモデルを排出するファミリーとなっていった。それらは世界中のライダーから多大な支持を受けて現在に至っている。そのスポーツスターの中でも、直近の10年で1番の人気を得ていると言っても過言ではないのがXL1200X フォーティーエイトだ。

人気モデルが故に、もはや言わずもがなという節があり、いきなりテスト記事に移ってもよいのだが、ここで初めてXL1200X フォーティーエイトを知るという方もいるかもしれないので、そもそもフォーティーエイトとはどのようなモデルなのかを少し触れたいと思う。

XL1200X フォーティーエイトの特徴

ツインショックが備わるスポーティなスタイリング、
シンプルながらも押し出しの強いディテール

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フォーティーエイトは2011年モデルとして2010年夏に登場した。ちょうど今から10年前の事となる。そもそもスポーツスターファミリーはシンプルなスタイリングやモデルラインアップの中では割と手を出しやすい価格帯であること、それでいながら伝統的なハーレーダビッドソンの世界観を楽しむことができることなどから、エントリーユーザーからエキスパートライダーまで幅広い層で人気の高いファミリーなのだが、このフォーティーエイトは登場するや否やそれに輪をかけるような大ヒット作となった。

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フォーティーエイトというペットネームは、1948年式のモデルSで初採用されたティアドロップタイプのタンクを現代のモデルに復刻されたことが由来となっている(2サイクルシングルエンジンを搭載したモデルSの説明はここでは割愛させていただく)。容量7.9リットルの小ぶりなサイズとされたタンクはスポーティな印象を醸し出し、カスタムライクな雰囲気を助長するキーポイントとなっている。

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さらには前後16インチのワイドタイヤやハンドルにぶら下がる形でセットされたバックミラーの採用など、ボバースタイルを連想させるエッセンスが散りばめられており、それが時代のニーズにマッチした格好となった。伝統的でありながらもスタイリッシュな見た目、誰しもがハーレーワールドを体感できる足つき性の良さなど、複合的な要素が絡み合い多くの人に受け入れられるモデルとなっているのだ。

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XL1200X フォーティーエイトの試乗インプレッション

ストリートでのハンドリングはポジティブ、
乗り味はテーマパークのアトラクション

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これまでにも幾度か試乗テストを行ってきたフォーティーエイトを目の前にし、改めて思わされるのは、素直にカッコいいということだ。サイドから見た際の流れるようなライン、斜め後方から眺めた時のまとまり感、各部ディテールに至るまで、一目見ただけで「これは売れてしかるべき」と心底感じさせられてしまう。1202ccの空冷Vツインエンジンを搭載、1986年から採用されているいわゆるエボ(エボリューション)と言われるエンジンのアップデートを繰り返し今に続くものであり円熟という言葉が良く似合う仕上がりだ。

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イグニッションをオンにしセルボタンを押して伝統的なVツインエンジンを目覚めさせる。温まるまではアイドリングが1000回転以上をキープし高めだが、しっかりと火が入ると回転数が下がり落ち着いたアイドリングサウンドを奏でるようになる。車重は252キロあり、軽いとは決して言えないもののシートの高さが710mmと低く、シャシーもスリムなので、小柄なライダーでも跨ったまま取り回すことができる。

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各部の暖機ができたことを確認してからペースを上げてゆく。低くセットされたハンドルバー、足を前に投げ出すスタイルとなるフォワードコントロールにより、なんともアグレッシブなライディングポジションを楽しめるのだが、前後16インチで幅は130と150のファットなタイヤサイズからなるハンドリングは想像通り重いものだ。しかし、前後のサスペンションがしっかりと粘るのでハンドリングが「悪い」ということは少しも思わせる場面はなかった。むしろ倒しこめばきっちりと意図したリーンを描いて車体の向きを変えてくれるので、「コーナーリングが楽しい」とすら感じさせてくれる。ステップが広くセットされているため、ちょっと寝かしこむだけでステップの先に備えられたセンサーが接地するが、それをわかってライディングすればワインディングでも結構なペースをキープすることができる(もちろんやりすぎると、ステップの根っこが路面にヒットしてしまうのでほどほどに)。この感覚は遊園地の乗り物的な雰囲気でフォーティーエイトならではのものだ。

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テスト車両はおろしたての状態で渡されたもので、乗り始めた時点でこそ若干のバサバサ感があったが、ある程度の距離を走らせてゆくとともにすぐにまろやかさが出てきた。フォーティーエイトは2016年から前後のサスペンションがアップデートされており、より一層乗りやすくなっている。ストローク量こそ少な目ではあるが、それはリジッドライクな乗り味を楽しめるエッセンスとなっているし、実は懐の深い性能も持ち合わせているものだ。なので、もしもユーズドバイクでフォーティーエイトを探すのであれば、現在の足まわりが採用された年式のものから選びたいところである。

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見た目良し、乗り味良し、と非の打ち所の無いXL1200X フォーティーエイトは、ヒットモデルとなることが約束されていたかのような一台であり、実際に登場から10年経った現在もスポーツスターの中でナンバーワンの支持を受けるものだが、やはり満タンでも8リットルに満たない燃料タンクは小さく、給油インターバルが狭いことが気になってしまった。名前の由来であり一番の目玉となっているポイントが燃料タンクであり、ちょっと気になるポイントも燃料タンクだったのである。ロングツーリングを頻繁に楽しむのであれば、もう少し大きい燃料タンクのモデルが欲しくなってしまうかもしれない。実は私自身、以前スポーツスターを所有していたことがあり、当時行っていたスポーティなカスタマイズに合わせて、一度小ぶりなピーナッツタンクに換装したのだが、BMWや国産クルーザー仲間とのツーリングに行った際、あまりにも給油ストップを繰り返さなければならないことにストレスを感じ、元に戻したという経験を持つ。まあストリートユースメインならば最高なのだが。

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XL1200X フォーティーエイトの詳細写真

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伝統を今につなげる空冷Vツインエボリューションエンジンは、最大トルク96Nmを3500回転で発生させる。ミッション一体型とされており、シフトチェンジ時の感覚は特有のものだ。

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スプリットスポークのキャストホイールに、130/90B16のファットタイヤを装着。フォーティーエイトのキャラクターを色づけるハンドリングを演出。49mm径のフロントフォークは接地感も高く、安定した走りを愉しめる。

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クロームベゼルのヘッドライトケースや、大ぶりなターンシグナルなど、ビンテージ感漂うオーソドックスなアイテムで纏められたフロントフェイス。シンプルながらも艶やかな印象を与えるのはハーレーダビッドソンならでは。

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車体右側の低い位置にセットされた2本出しのマフラーからは、歯切れの良いVツインサウンドを楽しむことができる。ブラックアウトされたエキゾーストシステムに、クロームのヒートガードを組み合わせた。

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シンプルなアナログタイプのシングルメーターを採用。中にセットされた液晶部分には、ODO、トリップ、シフトインジケーター、時計などを表示することができる。Vツインエンジンの振動でも破損しない強固なステーが使われている。

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フォーティーエイトの特徴の一つとして挙げることができるアンダーセットミラー。伸ばした手の下から後方を確認するというのは他車には見られないディテールだ。後方視認性は想像以上に良い。

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ステップはフォワードコントロールとなっている。左右に広く出ていることもあり、車体をバンクさせるとステップバーの先に備わったセンサーは、割と簡単に接地してしまうが、それも楽しく走れるというポイントに起因している。

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48年に登場したモデルSをオマージュしたティアドロップタンク。古くからピーナツタンクとしてカスタマイズアイテムにもてはやされていたものをメーカーが採用した流れで、コンパクトでスポーティなスタイルを印象付けるものとなっている。カラーバリエーションは5色。

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フォーティーエイトはソロシートが標準仕様となる。カップルがタンデムでツーリングというよりも、一人一台ずつ乗り、ライディングを愉しみながら出かけるというスタイルで楽しみたい。

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フェンダーは前後ともにショートタイプの物が採用されている。ストップランプ内蔵のターンシグナルは、もはやアイデンティティ。ただしフロント側とは異なり、リアにはLEDライトが使用されている。

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シートの下は基本的にユーティリティスペースは設けられていない。シートの裏側にはリアサスペンションのプリロードを調整するためのレンチが用意されている。

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プリロードアジャスター機構を備えるリアサスペンションを左右に装備。ダイナファミリー無き今、スポーティなツインショックスタイルを楽しめるのはスポーツスターがメインとなっている。

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