VIRGIN HARLEY |  独特なフォルムが唯一無二!スポーツライドを楽しめるハーレーのロードスターを試乗インプレッション試乗インプレ

独特なフォルムが唯一無二!スポーツライドを楽しめるハーレーのロードスターを試乗インプレッション

  • 掲載日/ 2020年07月27日【試乗インプレ】
  • 取材協力/HARLEY-DAVIDSON 取材・写真・文/小松 男
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HARLEY-DAVIDSON XL1200CX (2020)
スポーツバイク(ROADSTAR)というものをハーレーダビッドソン的に解釈した一台。シリーズ随一の運動性能を誇り、ストリートを快走する。

ハンドルは低く、シートは高く
モデルラインアップの中でも特殊な存在

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最近の事だが、ハーレーダビッドソンはファミリー構成を変更した。これまでのスポーツスターファミリーやソフテイルファミリーといったものを廃止し、ストリート、クルーザー、ツーリング、そして3輪モデルのトライクと分けてきたのだ。今回はその中からストリートに分類されているロードスターをピックアップし、その詳細を紹介することにした。

これまでロードスターは、スポーツスターファミリーの一台という位置づけであり、高くセットされたシートや、低く構えたハンドルバーなどは、カフェレーサースタイルをイメージさせるものだ。昨今ではフォーティエイトやアイアンなどと並び、スポーツスターの看板モデルとして高い人気を誇っていた。そんなロードスターをテストしてゆく。

XL1200CX ロードスターの特徴

メーカーカスタムならではの高い完成度
スタイリングだけでなく中身にも注目

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まず『ロードスター』というネーミングを持つ乗り物について考えるところから始めよう。そもそもロードスターという名称は四輪車の世界で用いられることが多く、最近ではマツダやBMWをはじめとしたカーブランドで車名として採用されており、2シーターオープンカーを挿すひとつの言葉となっている。その語源は幌馬車などから始まったという説もあるが、ではモーターサイクルではどうだろう。

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四輪車と同じく、ハーレー以外にもロードスターという車名を使っているブランドがいくつかあるが(ハーレーは”ロードスター”を商標登録しており、それだけで車名としている)、その共通点を探ってみるとカウルを持たず、スポーティなライディングを楽しむことができるモデルだということが分かる。もちろんそれぞれ思想は異なる物かもしれないが、開発時には先に挙げたような、ある一定の指標を設けて手掛けていることだろう。それらを踏まえて私が導き出したロードスターというネーミングを持つモデルの定義というものがある。それは、Free(自由)であり、Simple(純粋な存在)、Traditional(伝統を大切にする)、これらのキーワードを備えているということだ。

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その点ではハーレーのロードスターはどうだろう。自由というのは乗ってから考えるとして、スタイリングはシンプルであり、そもそもスポーツスターファミリーは長い歴史を持つ伝統的な存在だ。それをあえてロードスターと命名した由縁について考察しながらテストを行ってゆくことにする。

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XL1200CX ロードスターの試乗インプレッション

操っている感を味わうことができるのは
ゆくゆく名車と呼ばれるための基本的な素質

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ロードスターのテストを行う数週間前には、フォーティエイトを借用していた。その時の事を振り返ると、あのモデルはワイドかつ小径タイヤや低い着座位置からなる、遊園地的な楽しさを持たされたモーターサイクルだと感じたことを覚えている。それに対しロードスターの場合、シートは高いし、ハンドル位置はかなり低いため、かなり前傾したライディングポジションを強いられる。カフェレーサーカスタムを思わせる佇まいは、見た目だけでなく、ライダーにもおのずとスポーティなポジションを要求してくるということだ。ただし、ステップ位置がミッドコントロールにセットされているという点が気になった。個人的にはもう少し後方、高めに配置してくれるとバランスが良いと感じたものだが、そのように言い出すライダーがいることも解っていながら、あえてスタイリングを重視してこの位置とした確信犯であろうし、これぞハーレーらしいとも言えるところだ。

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エンジンに火を入れスタートする。ギア比は割とロングな設定とされているため、オートマ感覚で走ることができる。もっとショートで忙しいシフトチェンジを求められると思っていたこともあり、想像とは異なる部分ではあったが、乗れば乗るほど、このギア比はとても扱いやすいことが分かってくる。街中では3速2500回転程で、時速60キロ前後のクルーズができるのが心地よいし、ひとたびスロットルを開ければ、レッドゾーンの始まる6000回転まで一気に針が跳ね上がる。タイト目なワインディングを走る際なども、シフトを固定しても走れるし、2、3速のチェンジを繰り返すのも楽しい。その気にさせるライディングポジションと、体をしっかりと支えてくれるガンファイターシートの組み合わせも良好。タイムや速度を測るのは別としても、ただ走らせることが楽しい。これはロードスターの大きな魅力だと思う。

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職業柄、様々な車両をテストする機会があるが、ハーレーダビッドソンの生み出すモデルは、どれとも違う方向にあり、それはどのブランドもまねできるものではないと感じる。ハーレー自身、ロードスターをスポーツバイクだと打ち出しているわけではないが、私からするとラインアップの中ではスポーツモデルに位置していると考えている。ではスポーツモデルとは何なのだということになるのだが、それもかなり幅の広い話であり、頂点を求めるアスリート的なストイックさを持ち合わせている物もあれば、スローペースなジョギングや自重トレーニングで軽い汗をかく程度のものもあると思う。ハーレーのロードスターはそれらの後者に近い感覚であり、近場をぐるりと一周回ってくるだけで清々しい気分になる。これも一種のスポーツバイクだ。

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フォーティエイトと比べればましだが、コーナーリングで深くバンクさせれば、ステップバーの先に備わるセンサーは簡単に接地してしまうし、コーナーを攻めて走った際の腰から下のふわふわ度は、相変わらずだがこれで良いのだ。先に挙げたFree、Simple、Traditional、これらをしっかりと備えており、これぞまさしくロードスターだというモデルに仕上がっている。新車はもちろんだが、中古流通台数もそこそこあり、ファーストハーレーとしてもお薦めできる一台だ。

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XL1200CX ロードスターの詳細写真

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アルミヘッドの採用により、軽量かつ冷却効率が高められた1202ccエボリューションエンジン。最大トルク96Nmを4000回転で発生させる。電子制御によるインジェクションセッティングも絶妙であり、走りに集中できる。

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フローティングディスクローターをダブルでセットしデュアルピストンキャリパーと組み合わせる。フロントタイヤサイズは120/70R19で、過剰なスポーツ性能は持たず、ニュートラルなハンドリングを楽しむことができる設定だ。

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φ43mmの倒立式フロントサスペンションは、トレール量140mmとやや立たせられた格好で備えられている。フォークやステムなどすべてブラックアウトされており、精悍な印象が持たされている。

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リアサスペンションはツインショックタイプ。プリロード調整が可能となっており、スタンダードでは硬めに感じたため、少々緩めたところ、しっかりとしたストロークを得られトラクションのインフォメーションが向上した。適宜調整をお薦めする。

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リアのタイヤサイズは、150/70R18とされている。幅に関しては前後のバランスが良いが、個人的な印象ではリアを17インチに下げた状態も乗ってみたいところ。スポークを互い違いにオフセットしたホイールを採用している。

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ハーレーのアイデンティティとも言えるブレーキランプ、ウインカーを兼用したテールライトを採用。ショートカットされたフェンダーに、延長して備わるライセンスホルダーにより、テール周りのデザインが印象付けられている。

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シンプルかつオーソドックスなシングルメーターを備えている。回転計がアナログタイプなので視認性が良い。液晶部分の表示は、ハンドル左側にセットされたスイッチで変更することができる。

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スラムドハンドルバーと呼ばれるハンドルは、低くセットされており、ライディングポジションはおのずと前傾姿勢となる。若干ワイド気味ではあるが、コーナー時の抑えが効いて良い。バックミラーの後方視認性は高い。

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燃料タンク容量は12.5Lとされている。ストリートメインで使用した際、ガソリン満タン法計測時およそ17Km/Lをマークし、さほど燃費も悪くないことから実用的なサイズと言える。

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加速時などで腰の抑えが良いガンファイタータイプのシートを採用。シート高は785mmとされているが、足を下ろした位置にステップバーがあることが気になった。タンデムシートもあるが、後方に向かってスラントしており、エマージェンシー用と考えた方が良い。

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通常走行時に気になることはないだろうが、ワインディングでコーナーを攻めるような走りをすると、ステップバーの先のセンサーが接地することもあった。リーンアングルは、右30.8度、左31.1度とされている。

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レーザーカットによりスリットが施されるブラックカラーのエキゾーストシールドが、クローム仕上げされたテーパードマフラーにセットされており、デザインのポイントとなっている。

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