VIRGIN HARLEY |  ハーレー2021年モデルの「RA1250S パン アメリカ1250スぺシャル」を試乗インプレ!北米大陸で培ったタフ&ワイルドな性格試乗インプレ

ハーレー2021年モデルの「RA1250S パン アメリカ1250スぺシャル」を試乗インプレ!北米大陸で培ったタフ&ワイルドな性格

  • 掲載日/ 2022年01月24日【試乗インプレ】
  • 取材協力/HARLEY-DAVIDSON 取材・写真・文/小松 男
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HARLEY-DAVIDSON RA1250S(2021)
世界中のライダーに注目される中、昨年デビューを飾ったハーレーダビッドソン初のアドベンチャーモデル、パン アメリカ。パン アメリカ1250スペシャルは、電子制御サスペンションの搭載をはじめ装備の充実が図られた上位グレードだ。

これから先100年のハーレー史に名を刻む
とっておきのニューカマーとしての重圧

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多くのライダーが憧れるアメリカンモーターサイクルブランド、ハーレーダビッドソン。広大な北米大陸を舞台に誕生し育まれた珠玉のバイクはどれも魅力的なものとして目に映る。そんなハーレーダビッドソンではここ数年、大きな改革が行われている。電動バイクブランドとしたライブワイヤーの立ち上げや、スポーツスターの水冷エンジン化、小排気量モデル開発の話など、多岐に渡りチャレンジングな動きを見せている。

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その中のひとつに、今回紹介するパン アメリカ1250もあった。2021年に登場したパン アメリカ1250はハーレーダビッドソン初のアドベンチャーモデルである。様々なブランドがマーケットに参入してきたアドベンチャーセグメントにあって、最後発と言えるパン アメリカ1250は、どのようなモデルに仕上がっているのか今一度考察することにした。

RA1250S パン アメリカ1250スペシャルの特徴

既存アドベンチャーモデルとは異なる
ハーレーらしい独特なスタイリング

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ハーレーダビッドソンと言えば、優雅な大型クルーザーモデルやスポーツスターのようなカスタムライクなモデルを想像する方も多いと思う。それは間違えではなく、ハーレーダビッドソンが歩んできた長い歴史そのものが我々の脳裏に焼き付いているためなのだが、ここにきて何やら大きな変化が行われ始めた。例えば2017年を最後にダイナファミリーが終焉を遂げたことや、ここで紹介するパン アメリカ1250が登場した後には、スポーツスターは水冷エンジンを搭載し、新たな一歩を踏み出した。ハーレーダビッドソンはいつの時代も変わらないものだと考えていたわけではなく、常に時代に合わせたモデルを投入し続けてきていたことはわかっていた。しかし昨今はそれに拍車がかかった状況だと言える。そのような中の一手として登場したハーレー初のアドベンチャーモデル、パン アメリカ1250はその見た目からしてこれまで抱いていたハーレーに対する概念を覆す一台となっている。

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上級グレードであるパン アメリカ1250スペシャルは、6軸センサーなどを利用して車高やプリロード、減衰力などを自動でコントロールする電子制御式セミアクティブサスペンションやアダプティブヘッドライト、センタースタンドなどを装備しており、停車時に車高が下がり足つき性を高めるアダプティブライドハイト機構は、シートの高いことでアドベンチャーモデルに手を出すことに躊躇していたライダーたちから大きな支持を受ける結果となった。国内で販売されたバイクから選ばれる日本バイクオブザイヤー2021の外国車部門において最優秀金賞を受けたことも記憶に新しい。そのパン アメリカ1250スペシャルを一定期間お借りし、テストライドを行った。

RA1250S パン アメリカ1250スペシャルの試乗インプレッション

オフロード走破性能云々は置いておいて、
長距離ツーリングの快適性が肝となっている

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2021年の初夏には日本にも上陸し始めていたパン アメリカ1250スペシャル。ハーレーダビッドソン正規ディーラーなどでもその姿を見かけていたが、実車に触れるのは今回が初となった。鳥類系のクチバシデザインが多くみられるアドベンチャーセグメントにおいて、パン アメリカ1250スペシャルのスタイリングは独特だ。横方向に広くスクエア形状のヘッドライトはファットボブ114の顔つきにも通ずるが、そそり立ったスクリーンやボディラインに続くベゼルなど、これまでのバイクのデザインには見られないものだ(一瞬ビモータ・マントラを連想したが、それとも異なるニュアンスだ)。

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搭載されるエンジンは新開発とされたRevolution Max1250で、ボアストロークを105×72mmとする1252ccで、可変バルブタイミング機構を持つDOHCとなり、最高出力は152馬力、最大トルクは128Nmというハイパフォーマンスを備えている。今回のパン アメリカ1250スペシャルよりも前に、新型スポーツスターSのテストライドを行っていた私は、このエンジンのポテンシャルを知っていたが、それがアドベンチャーモデルでどのようなキャラクターになっているのかも気になっていた。

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イグニッションをオンにするとアダプティブライドハイトが作動し車高が下がる。私の場合車体に跨ってからオンにする癖がついているが、車高を下げてから跨るように、そして車両を降りてからイグニッションオフにすれば、足つきを心配に思うライダーでも問題なしだ。

エンジンを始動するとわりと軽やかな排気サウンドが轟き、握りの軽いクラッチレバーを操作し走り出す。車高調整機構は自然だが、気にすればその動作が分からなくもない。むしろサスペンションの動きがわかることが嬉しくも感じられる。車格は大きいが走り出してしまえば、ゆったりとしたクルージングを楽しめるのもポイントだ。

ライディングモードは5パターンがプリセットされており、それぞれエンジン特性やトラクションコントロールの介入具合、サスペンションのセッティングが割り振られている。スポーツスターSでは強烈だと感じられたエンジン特性は、電子制御により良く調教されており、スロットルワークに対する確かなツキの良さを確保しながらもマイルドな走行を楽しむことができ、アダルトな乗り味という印象だ。厚手のシートや十分に確保されたサスペンションストロークのおかげもあり、乗り心地は非常に良く、広い視界も得られるので、ソロライドだけでなくタンデムツーリングも楽しみたい。きっとパッセンジャーも快適なクルージングに満足することだろう。

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フロント19インチ、リア17インチは個人的にも好みのタイヤセットだ。スポーツバイクのようにシャープなコーナーリングができるわけではないが、ワインディングをヒラヒラと心地よく走れるし、もし未舗装路に出くわしたとしてもそれなりのコントロール性能を維持しながら進むことができるからだ。今回のテスト車両は、オフロード走破性能の高い、ミシュランのアナキーワイルドに換装されていたため、コーナーでのハンドリングの感触は今ひとつだったが、未舗装の林道は快適にパスできた。

今回テストを行った個体に限ったことかもしれない話をさせてもらうと、私の元に来る前に様々なステージで、かなり酷使されたことによる影響なのだとも思えるが、ギアチェンジを行う際にシフトの入りが渋く感じられた。まだ走行5000キロ程度なので、オイル交換でフィーリングが改善されることを願いたい。

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ハーレーダビッドソンがアドベンチャーモデルを開発してきたわけは、長距離を快適に走破するために適したパッケージングだと考えたからだろう。既存のモデルと並び、新たな大陸横断バイクとして、優れた性能を備えていることがテストを通じて分かった。

RA1250S パン アメリカ1250スペシャルの詳細写真

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パン アメリカ1250から採用された新開発の水冷Vツインエンジン、Revolution Max1250。空冷ビッグツインとは違うフィーリングで、新たなハーレーワールドを切り開く。スポーツスターSにも同系統のエンジンが採用されたことからも、モデルバリエーションが広がることを期待できる。

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フロントは120/70R19サイズのタイヤをセット。チューブレスタイヤの装着を可能としたスポークホイールや電子制御式セミアクティブフロントフォークを採用していることもポイントとなっている。

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両持ちタイプのスイングアームに170/60R17サイズのタイヤを組み合わせる。アドベンチャーモデルで多くみられるサイズなので、使い方によってオンロードよりのモデルやオフロード志向のものなど、タイヤ選びを楽しめる。

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独特な形状のフロントマスク。スチールバンパーは悪路にはまった際に引き出すためにも使える。アダプティブヘッドライトを装備しており、バイクのリーンアングルを感知することで死角となる方向に対し自動で照射する。

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防風性能の高いウインドウスクリーンは、手動にて上下に可動させることができる。高速走行時などには、高い位置にセットすることで、走行風をかなり防げる。

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ステップバーはオフロードブーツのソールに食いつく形状で、悪路でもしっかりと車体をホールドすることができる。シフトストロークは短く、ダイレクトな感触を得られる。逆側のブレーキペダルはツール不要で2つのポジションを選べる。

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フラットで厚手のシートは、長時間のロングツーリングでも疲れにくい上に、パッセンジャー側は荷物の積載もしやすいことも目的としている。シート高は850/875mmというスペックだが、アダプティブライドハイト機構により停車時にはさらに30mmほど低くなる。

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あらゆるインフォメーションを表示することができるTFTカラータッチスクリーン。大冒険を目的としたアドベンチャーモデルらしいタフなスタイルとなっている。アダプティブライドハイト作動時にはシフトインジケーター隣のサスペンションマークが点滅する。

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テールセクションもワイルドなデザインとされている。ワンタッチで着脱可能な純正トップケースや純正パニアケースのオプションも設定されているので、合わせて揃えたい。

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プリロードやダンピングなどを自動で調整する機構を備えたセミアクティブサスペンションは、リンクを介してスイングアームへセットされている。

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燃料タンク容量は21.2リットル。車両重量は258キロと重量級だが、取り回しは意外なほど軽く思えた。2022年モデルではカラーバリエーションが増えている。

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スイッチボックスは左右ともに、多くの操作ボタンが備わっている。一通り使えるようになるには慣れが必要だが、ライディングモードセレクトやオートクルーズなど基本的な機能を使うには分かりやすいレイアウトだ。

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パッセンジャー側のシート下には、多少のユーティリティスペースが設けられている。ETC車載器を収めるとそれでいっぱいになってしまいそうだが、ライダー側のシート下にはさほど余裕がないことも分かった。

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