VIRGIN HARLEY |  ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!試乗インプレ

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!

  • 掲載日/ 2021年07月16日【試乗インプレ】
  • 取材協力・写真/HARLEY-DAVIDSON 取材・文/佐川 健太郎
ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!のメイン画像
HARLEY-DAVIDSON RA1250/S(2021)
ハーレーダビッドソン初 のアドベンチャーツアラー、「パン アメリカ 1250/スペシャル」のメディア試乗会が北軽井沢で開催されたのでレポートしたい。

RA1250/S パン アメリカ1250/スペシャルの特徴

走行をアシストするための先進安全システムを搭載

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の01画像

「パン アメリカ 1250」にはSTDとスペシャルの2タイプがある。最高出力152psを発揮する新開発の水冷Vツイン1,250ccの通称「Revolution Max 1250」エンジンや車体の基本構成は共通だが、大きな違いとしてはスペシャルには電子制御式セミアクティブサスペンションが採用され、路面や走行状況に合わせて自動的に減衰力をコントロールする機能が搭載されている。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の02画像

パン アメリカ 1250

またシート高の自動調節機能 「アダプティブライドハイト(ARH)」を標準装備し、停止時に車高を下げることで快適な足着きを実現。さらにアダプティブヘッドランプやグリップヒーター、ハンドガードやエンジンガード等のプロテクター類、ステアリングダンパーやスポークホイール(日本仕様に標準装備)を備えるなど、よりラグジュアリーかつオフロード向けの装備になっているのが特徴だ。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の03画像

パン アメリカ 1250

STDとの共通装備としては、6.8インチTFTディスプレイを搭載しタッチパネルを用いて複数の走行モード(ロード、スポーツ、レイン、オフロード、オフロード+、カスタムなど)が選択できる他、コーナリング対応のABSやトラクションコントロールなど、安全で快適な走行をアシストするための先進安全システムが搭載されていることもポイントだ。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の04画像

パン アメリカ 1250スペシャル

RA1250/S パン アメリカ1250/スペシャルの試乗インプレッション

スケールの大きさにハーレーらしさが宿る

「パン アメリカ」とはオール・アメリカの意味。地平線まで続く道をひた走り、ロッキー山脈やアリゾナの砂漠を越えて広大なアメリカ大陸を走破するスケールの大きさを感じさせるネーミングだ。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の05画像

見た目はデカい。巨大マシンぞろいのアドベンチャーマシンの中でも、車重258kgにホイールベース1580mmとスペック的に見ても大柄だ。だが、取り回してみると意外にも軽い。バッテリーをエンジンの前方下側に置くなどマス集中と低重心化を徹底しているためか、見た目によらない軽さと安定感が印象的だ。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の06画像

パン アメリカ 1250スペシャル

デザインもユニークだ。アドベンチャーマシン特有のビーク(くちばし)を廃して、4輪のような水平基調のヘッドライトにアルミ製ロングタンクを採用するなど、「誰にも似ていない」ことを主張している。そこにハーレーのプライドと自信が垣間見える。ライディングポジションも同様にプルバックしたハンドルバーに分厚いクッションの効いたシートなどクルーザー的であり、ハーレーらしさを感じる。

驚きの車高下げ機能で足着きは抜群だ

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の07画像

スペシャルから試乗したが、まず驚いたのが足着き性の良さ。イグニッションをオンにするとスーッと車高が下がる。ハーレー側の説明によると最大で約5cm下がるそうだ。通常タイプのサスペンションであるSTDと比べると大きな差で、このジャンルとしては最も足着きが良いと思える。「最大で」としているのは走行モードによって車高が変わるからだ。ライダーや積荷の重さによってプリロード(初期荷重)での沈み込み量が自動調整され、走行モードごとにサスペンションの減衰力が最適化される仕組みになっている。また、停止直前にセンサーが感知して車高が下がるのだが、とても自然でスムーズなのでライダーは気が付かないほど。つまり、足着きが良く、乗り心地に優れ、あらゆる路面にフレキシブルに対応してくれるということだ。STDとは40万円強の価格差があるが、その価値はあると実感した。

パワフルでスムーズ、路面に吸い付く安定感

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の08画像

高速道路ではパワフルで快適な走りが楽しめた。標準の「ロード」モードを試しみたが、スロットルに対するレスポンスが穏やかで、なおかつゆったりとしたライディングポジションとソフトなサスペンションのおかげで疲れにくい。それでいて、スロットルを開けると従来のハーレーの伝統的な空冷ビッグツインとは比較にならない俊敏さで高回転パワーが炸裂する。基本的には低中速重視の出力特性になってはいるが、かといってVツイン的なドコドコ感は希薄で8000rpm過ぎまでスムーズに吹け上がる。サウンドはチューニングされたハーレーのフラットトラッカーのようにワイルドだ。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の09画像

パン アメリカ 1250スペシャル

一方、ワインディングでは「スポーツ」モードで走ってみたが、エンジンの反応がぐっと鋭くなり図太いトルクで巨体を強烈に加速させていく。エンジンブレーキが強くかかり、前後サスペンションもダンパーが効いた“硬めの足”に一瞬で変化するなど、スポーツライディングに適した設定になる。コーナリング中もピタッと路面に吸い付くような安定感で、狙ったラインを正確にトレースできる精緻なハンドリングにも感心する。「パン アメリカ」はロングツアラーとスポーツパイクの2つの顔を持っていると実感した。

見た目以上にスポーティでダートも楽しめる

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の10画像

そして、極めつけはダート。まずはフラットな林道に入ってみたが、「オフロード」モードはサスのストローク感が増して路面の凹凸をきれいに舐めて走ってくれる。ABSとトラクションコントロールも介入度が抑えられオフロード向けに最適化されて、ヌタヌタ路面でもしっかり止めてくれるし、スロットルを思い切り開けてもスライド量を適度に調整してくれるなど安全圏の中でダート走行を楽しめる。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の11画像

さらにオフロード専用コースでも試乗してみたが、段差を利用したちょっとしたジャンプやヒルクライムなどの遊びも問題なくこなせるし、車体さえ傾け過ぎなければ後輪を穏やかに滑らせながら車体の向きを変えていく、「アドベンチャー」らしい走りもたやすくできてしまう。Vツイン特有の路面をつかむトラクタブルなエンジン特性とバランスの良い車体、しなやかなサスペンションが連携して、気持ちの良いオフロード走行を楽しませてくれるのだ。ちなみに「オフロード+」モードでは後輪のABSがカットされ、トラクションコントロール介入度も最小となるなど上級者向けの設定となるが、そこまで使わなくても十分な感じだ。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の12画像

パン アメリカ 1250スペシャル

また、最初はブロックが穏やかなのでやや不安に思えた標準装着タイヤ(ミシュラン・スコーチャーアドベンチャー)だが、実際に走ってみると思っていた以上にグリップ力があり、ダートでも安心して走ることができた。オフロード性能だけで言えば上には上があろうが、ハーレーの持つブランド力やARHによってもたらされる安心感と利便性は大きなアドバンテージであることは間違いないだろう。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の13画像

パン アメリカ 1250スペシャル

ひと口に言うと、見た目以上にスポーティでオフロードでも良く走る。おそらくはアドベンチャー分野では最後発ということで、先行する他ブランドのライバル達を徹底的に研究し尽くして開発したのだろう。その上で、ハーレーらしさを存分に盛り込んだ、まさにアメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーツアラーである。その意味で「パン アメリカ」はデビュー戦を見事に白星で飾ったと言えそうだ。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の14画像

パン アメリカ 1250スペシャル

RA1250/S パン アメリカ1250/スペシャルの詳細写真

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の15画像

最高出力152ps/8750rpmを発揮する完全新設計の水冷V型2気筒1,250cc「Revolution Max 1250」エンジンを搭載。挟角60度に対しクランクを30度ずらすことで90度Vのような鼓動感とスムーズな回転を実現している。アンダーガードの内側にバッテリーを搭載。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の16画像

ブレンボ製ラジアルモノブロック4Pキャリパー&φ320mmダブルディスク(リアは同じくφ280mmシングルディスク)を装備。ABSはコーナリング対応でモードによって介入度を調整する。「スペシャル」はオフ向きのワイヤースポークホイール(19インチ)を標準装備。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の17画像

トラクションを稼ぐロングタイプのアルミ製スイングアームと石などの噛み込みに強いチェーンドライブの組み合わせからも本気でオフ性能を追求していることが分かる。タイヤは専用開発のミシュラン・スコーチャーアドベンチャーを履く。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の18画像

オフロードトレイルを意識した水平ヘッドライトが印象的。スクリーンは4段階調整タイプでその底部には「スペシャル」専用装備のアダプティブヘッドランプを装備。グリップガードやエンジンガード、ステアリングダンパーも専用装備となっている。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の19画像

ハーレーらしさが漂うアルミ製フューエルタンクはロングランを想定した20L容量を確保。やや手前にプルバックしたハンドルバーにもクルーザー的な雰囲気が漂う。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の20画像

本格的なリアシートを備えた前後独立タイプのシートがロングツアラーであることを物語る。フロントシートはフックによって簡単に2段階で高さ調整可能だ。ローポジションではシート高830mmまで落とせる。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の21画像

最大の特徴と言えるのがARH。停車中にはシート高を下げて足着きを確保し、走行中は最適な車高に自動調整する。SHOWAが開発したハイトフレックス搭載のセミアクティブ前後サスペンションをベースにした画期的なシステムである。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の22画像

「スペシャル」にはサイドスタンドの他、メンテナンスにも便利なセンタースタンドを標準装備。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の23画像

左右グリップに埋め込まれたキーを操作して各種設定を切り替える。右側にはイグニッションや走行モード、トラクションコントロールのスイッチを装備。左側にはメニュー画面やクルーズコントロールやグリップヒーターの操作キーが並ぶ。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の24画像

新設計の6.8インチTFTディスプレイを装備。メイン画面の表示レイアウトは好みで切り換え可能だ。タコメーター内側上部のアイコンが走行モード、下側のギヤポジション横にあるサスペンションのアイコンがARHの作動状態を知らせる。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の25画像

タッチパネル併用のディスプレイは日本語表記で分かりやすい。5種類の走行モードの他、出力特性やサスペンション設定、ABSやトラクションコントロール介入度などを自分好みにカスタムすることもできる。ARHを無効にしてサスペンションの長さを固定化することも可能だ。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の26画像

ステップバーのラバーは手で簡単に脱着可能。また、ブレーキペダルのペグも上下に回転させることで高さ調整可能(スタンディングしたときに操作しやすい)など、オフロード走行に対応したデザインになっている。

ハーレー2021年モデルのパン アメリカを試乗インプレッション! いい意味で予想を裏切るハイレベルな走り、アメリカ大陸が生んだ本格派アドベンチャーだ!の27画像

旅を彩る純正アクセサリー&パーツも豊富に用意。パニア&リアボックスはアルミ製の他、樹脂製、ナイロン製などが選べる。

ピックアップ情報