VIRGIN HARLEY |  ミルウォーキーエイトエンジンの魅力を存分に味わえるファットボブの試乗インプレッション試乗インプレ

ミルウォーキーエイトエンジンの魅力を存分に味わえるファットボブの試乗インプレッション

  • 掲載日/ 2019年08月24日【試乗インプレ】
  • 取材協力/HARLEY-DAVIDSON 取材・写真・文/小松 男
ミルウォーキーエイトエンジンの魅力を存分に味わえるファットボブの試乗インプレッションの画像
HARLEY-DAVIDSON FXFB(2019)

ダイナファミリーの血脈を受け継ぐ、
スポーツハーレーの切り札

以前存在したダイナファミリーというセグメントがなくなり、すべてソフテイルファミリーと統合されたのが2018年モデルでのこと。その際に第六世代のビッグツインエンジンとなるミルウォーキーエイトを搭載して、ファットボブは登場することになる。ファットボブというネーミングは旧ダイナファミリー時代にも使われていたが、現在のファットボブは先述したエンジンの変更はもとより、ソフテイルとされたことで、サスペンションは隠されているし、特徴的な角型ヘッドライトの採用など、スタイリングからして別物と言っていいだろう。現在は107(1745cc)、114(1868cc)エンジンから選ぶことができ、今回は107エンジンモデルを考察してゆくことにする。

FXFB ファットボブの特徴

見た目からして異端を感じさせつつも
ポイントを引き締めたプロポーション

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今から116年前のこと、ハーレーダビッドソン社はウィスコンシン州ミルウォーキーにて設立された。北米という地で生み出されてきたハーレーのラインアップは、地球上に様々なバイクが溢れかえる中において、唯一無二の存在と言えるものばかりだった。伝統的なビッグツインエンジンを搭載するモデルは特に個性的であり、現行モデルに採用されている2017年に登場したミルウォーキーエイトは、そんなハーレーの転機となるエンジンだ。

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第六世代のビッグツインとして発表されたミルウォーキーエイトは、ボア×ストロークが100×111.1mmの107(1745cc)と102×114.3mmの114(1868cc)の2種類が用意された。両者は若干ではあるがキャラクターの違いがあるものの、実際のところ多くのライダーの場合、同時に乗り比べないと、大きな差はわからないだろう。それよりも大きなポイントとなるのは、2020年からはじまるとされるユーロ5(欧州の二輪車排出ガス規制)を想定しているところだ。規制をクリアすることはもちろん、環境問題にも対応することは、メーカーとしての存続を左右することとなる。電動モビリティ開発に取り組む一方で、これからもビッグツインエンジンを作り続けてゆきたいというハーレーの意思が具現化された新エンジンがミルウォーキーエイトなのだ。

そんなミルウォーキーエイトが搭載されたファットボブは、ブラックナセル内に収まる角型LEDヘッドライトが、なんともモダンな印象を醸し出すハーレーの”今”が落とし込まれたモデルだ。

FXFB ファットボブの試乗インプレッション

怒涛の加速と、軽快なコーナーリング
マッスルモデルらしからぬスニーカー感覚が魅力

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現在のソフテイルファミリーは、すべてのモデルでLEDライトが採用されているが、ファットボブほど個性的な顔つきのモデルは無い。ひと目でソレだと分からせるというデザインにしたのは、ハーレー自身がこのモデルに注力したことの表れだと思う。

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ミルウォーキーエイトエンジンに火を入れる。アイドリングは900回転前後とかなり低めの設定だ。若干ではあるが従来のエンジンと比べ、メカノイズが軽減しているように思える。ミルウォーキーエイトは、ツインカムではなくシングルカムとされたのもポイントだ。どの回転域においても、スロットルワークに対する反応が良く、エンジンそのもののポテンシャルの高さ、そしてコンピュータマネジメントを入念に設定したことの恩恵を感じさせてくれる。

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前後に16インチホイールを採用しており、特にフロントのタイヤサイズは150とかなり太目に設定されている。タイヤサイズだけで考えると重めのハンドリングをイメージしてしまうが、キャスター角が28度と立ち気味にセットされた倒立フロントフォークや、1615mmという短めのホイールベースなどの相乗効果によって、意外とも言えるほどクイックなハンドリングが演出されている。この軽快感は、多くのライダーが走り出して最初に気づく部分だと思うし、これこそがファットボブのキャラクターといえるポイントだ。

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シグナルスタートでは一瞬にして景色を後方へと置き去りにし、ワインディングに持ち込めば、心地良いコーナーリングを楽しめる。さらには取り回しそのものが軽いため、多くのクルマが走る幹線道路や、細い道が入り組んだ路地でも、躊躇なくガンガン走ってゆくことができるのもファットボブの利点だ。旧ダイナの高いスポーツ性能が好きだった私は、ソフテイルとなったファットボブに対し、テスト前には少々疑念を抱いていたが、持ち前のスポーツライクな実力は据え置きに、エンジンや足回り、そしてスタイリングがブラッシュアップされた格好となっていることが分かった。

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大型バイク、特にハーレーのビッグツインモデルの場合は、ちょっとそこまで走らせるというのも、面倒に思えることがあるが、ファットボブはその真逆だった。とにかく走らせることが楽しいので、いつも、どこに行くにも、少しだけでも乗りたいという衝動にかられ、近所のコンビニに行くのにも使ってしまうといった気持にさせてくれる。これがストリートやスポーツスターならわからなくもないが、ハイパフォーマンスなビッグツインモデルらしからぬ気軽さがファットボブには秘められているのだ。

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登場当初から人気の高い現行ファットボブは、中古車マーケットにも複数台が流通しており、新車価格を考えるとかなりお値打ちといえる金額で取引されている。ファットボブが欲しいものの、新車だとちょっと手が出せないと考えている人は中古も視野に入れると良いだろう。

FXFB ファットボブの詳細写真

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ミルウォーキーエイト107(1745cc)エンジンを搭載。エンジンがリジッドマウントされるソフテイルファミリーは、デュアルバランサーを採用し振動対策が施されている。なお、114(1868cc)エンジンも選択可能だ。

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ステップはフォワードコントロールとされる。ワインディングを攻めるような走りをすると、ステップ裏のバンクセンサーは簡単にヒットする。体格やライディングスタイルにもよるが、少々手前へとセットバックしてもよさそうだ。

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シート右脇には、リアサスペンションのアジャスターが配置される。5段階からプリロードを選択でき、シチュエーションによってセッティングを変えて楽しみたい。

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16インチのアルミキャストホイールに、150巾のファットタイヤがセットされる。ソフテイルファミリーではFXDR114と、このファットボブのみダブルディスクブレーキが採用されている。

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ブラックアウトされたナセルにセットされる、個性的なスクエア型LEDヘッドライトもファットボブの特徴だ。他のモデルと一線を画すフロントマスクとされている。

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燃料タンク容量は、13.6リットル。やや少なめに思えるが、ハイスピードツーリングよりも、ストリートやワインディングなどのスポーツライドを得意とするキャラクターなのでバランスは適している。

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後方がせり上がった形状のライダーシートは、図太いトルクから体を支えてくれる。シート前方にかけてシェイプされているため、足つき性は良好。滑りにくく、総じていい印象を受けたシートだ。

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現行ソフテイルファミリーから大幅に変更されたメインフレームの後端から、モノショックを介し、繋げられた三角形状のスイングアーム。バネ下重量の軽減に貢献している。

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2-1-2構造とすることで排気効率を高めたエキゾーストシステム。サイレンサーは後方に向け跳ね上がるようにセットされており、スポーティな印象を助長している。

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ハーレーのエンブレムが刻印されたダンロップD429タイヤを装着。グリップ力も高く、加速時はしっかりと路面をつかみ取り、バンク中も不安を覚えるようなことはない。

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ライザーを介して取り付けられたテーパーハンドルは、若干ライダー側に引き寄せられた形状とされており、ライディングポジション的に広すぎると感じることは無い。

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燃料タンク上部に設置されたメーターパネルは、アナログタイプの回転計を周囲に、速度、残燃料、ギアポジション、トリップなどを表示する液晶パネルが下部に備わる。

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トップブリッジから突き出す形でセットされた倒立フロントフォーク。トラベル量も多く、動きもいいためスポーティなハンドリングを楽しめるが、若干フロントタイヤに依存する傾向も感じられた。

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