VIRGIN HARLEY |  なぜアメリカなのか芦田 剛史のUSAディーラー・トレーニングダイアリー

なぜアメリカなのか

  • 掲載日/ 2006年06月09日【芦田 剛史のUSAディーラー・トレーニングダイアリー】
  • 執筆/芦田 剛史
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本場ディーラーでハーレーを学ぶ USA Training Diarys 第1回

はじめまして

はじめまして。この度「Virgin Harley」でコラムを書かせていただくことになりましたメカニックの芦田です。まだまだ人様に偉そうに話せることなど無い未熟者ですが「アメリカでのメカニック修行についてレポートして欲しい」という大役を任されお受けすることにしました。このコラムの執筆を受けたのは「ハーレーの生まれ故郷『アメリカ』のハーレー事情を少しでも日本のユーザーに知ってもらいたい」という理由に尽きます。メカニックやビルダーとして、渡米を果たした方は日本にも多くおられます。しかし、その活動をリアルタイムで中継すれば「生々しくアメリカを伝えられるのでは?」と考えていました。そんなときにVirgin Harley編集部からの依頼がありましたので、この機会を逃す手はありません(笑)。

これから毎月、メディアを通して日本から見た「アメリカ」とは違った角度から「生のアメリカ」をお伝えしたいと思います。私が日々メカニックの修行をする中で日々感じること…たまには弱音を吐くかもしれません。しかし、ありのままの私をお伝えすることで、“夢”を持って生きることの素晴らしさ、メカニックの素晴らしさ、そしてハーレーの素晴らしさをお伝えできたなら、このコラムは活きてくると確信しています。どうぞお付き合いください。

100周年記念イベントに参加し
アメリカをリアルに感じはじめました

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皆さんは“アメリカ”と聞くとどんなことを想像しますか?
「果てしない大地、広大な自然、地平線、フリーウェイ、ホットロッド、チョッパー、デカイおっさん、カーチェイス トップレスのお姉さん(笑)…」いろいろあると思いますが、これは僕の渡米前のイメージ像です。ありきたりなイメージですよね? 私がハーレーのメカニックを始めた6年前、当時の私にとって、アメリカはほとんど天国に近いくらい遠い存在でした。ですから、アメリカのイメージなんて漠然としたもので当然ですね。

しかし、そんな私にも転機が訪れました。2003年、そう「Harley-Davidson100周年記念! In Wisconsin」イベントです。ハーレー発祥の地へ幸運にも訪れることができました。この渡米が私にとって始めてのアメリカでした。ジャンボ機から見下ろすアメリカの街並み、子供の頃から憧れた国が、目の前に広がったのです。そのとてつもないお祭りでは、何故かでっかいおっさんにいきなり突き飛ばされました。私が邪魔でライブが見えなかったらしいです(笑)。今ならあのおっさんの文句も聞き取れたのでしょう…。おっさんが叫んだ時、口から食べカスが私に向かって飛んできたのは今でも忘れられません。カルチャーショックを受けた体験の1つですね。

USディーラーを見学したことを機に
アメリカで働きたい、と思いはじめました

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当時は世界中からハーレー乗りが集まってきていて、町中がハーレーで埋め尽くされていました。普段、毎日何十台とハーレーを見ている私にとっても、お国柄に出る“個性”の違いには驚かされました。カスタムされつくしたきらびやかなショーカーなどに驚いたのではありません。ごく一般のアメリカのユーザーの方が何気なく付けているアクセサリーやペイントの色使い、そして大きな体でのハーレー跨ぎ方…。コーヒーショップから何気無く現れ、タバコを消し、ちょっとダルそうにハーレーを跨いだかと思うと、エンジンがかかった途端に目がギラッと強く光り、力強く走り抜けていく…。そんな何気ない光景が私の心をくすぐってくれました。このときに私はアメリカを深く知りたい欲求に駆られていたのかもしれません。

決定的だったのは、アメリカでディーラーのファクトリーを見学に行った時でした。メカニック経験者しか分からないことかもしれませんが。見た瞬間「なんじゃこりゃ?」と驚きの連続です“広い”、“綺麗”、“かっこいい”しかも何か“偉そう”に見える(笑)。狭い日本と広いアメリカを比べても仕方がないのでしょうけれど、そのファクトリーは私の目に眩しく映りました。メカニック見習いがミネラルウォーターをカートに乗せ、メカニックに配っているのを見たときに「自分もあそに居る人間と全く同じ職業の人間…。この環境に身を置いて仕事をしてみたい」そう思いました。

自分が今どのレベルにいるのか
それを本場で確かめてみたい

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アメリカに渡ってみたかった理由、それはもちろん職場環境だけの話ではありません。「日本人で6年メカニックをやってきた自分はアメリカではどのレベルにいるのか?」それを確かめたかった。あとはもう一つ「アメリカで修行する」という夢を持ちたかったのです。漠然とした「夢」では無く、具体的な「夢」を目標に自分を高めていきたい。「夢」と「目標」を持ち、それに向かって努力することができたなら、その道に山や谷があろうが何度でも立ち上がり、這い上がり、何かを実現できるはず、私はそんな「道を歩む人」でありたい、そういう気持ちがたかぶっていました。日本の有名ショップの方から「時間とお金の無駄」とか「日本にいても変わらない」と言われたこともあります。しかし私は、自分より後輩になる若者に、夢と目標を持って生きる人生の価値を自分で実践し示したかったのです。

人生はたった一度きりです、生まれ変わりなどありません。やりたいことがあるならチャレンジすべきです。夢が夢を呼び、全てが繋がりはじめます。小さなきっかけから始まった私のアメリカでの武者修行ですが、どんな苦労を経て新たな夢へと繋がっていくのか…。アメリカのレポートと合わせご紹介いたしますので、皆さんに見守っていただきながら時には刺激を受けていただき、何か新しいことを始めるきっかけになれば幸いです。

プロフィール
芦田 剛史

26歳。幼少からバイクと車に興味を持ち、メカニックになることを誓う。高校中退後、四輪メカニックとして4年の経験を積み、ハーレー界に飛び込む。「HD姫路」に6年間勤務、経験と技術を積み重ねたのち「思うところがあり」渡米を決意。現在はラスベガスHDに勤務。(※プロフィールは記事掲載時点の内容です)

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