「より遠く、より快適に」。
その名の通りツーリングでの使用を念頭に開発されたファミリーです。1日に何百キロを走破しても体に負担がかかりづらい、充実の装備が自慢です。乗り手の体力を少しずつ奪う風を遮る大柄なウインドシールドやフェアリング(カウルのようなもの)、快適なフットポジションを実現するフットボード、旅の装備を積載できる大容量のサドルバッグなど、他ファミリーの上をいく快適性が人気の秘密です。
ハーレーは「キング・オブ・ハイウェイ」と称されることがありますが、ツーリングファミリーこそ、その名にふさわしいと言えます。また、ツーリングファミリーのモデルはすべて「FL」という名を冠していますが、これはハーレーの歴史の中で伝統あるモデルにのみ冠せられてきた名称。装備は年々進化してきましたが、そのスタイリング、コンセプトは110年以上続くハーレーの伝統をもっとも忠実に体現しているファミリーなのです。
現行のツーリングファミリーにはツインカム103(1689cc)が採用されています。ロアフェアリングを装備したFLTRU、FLHTK TC、FLHTKL TCには水冷機能を備えたツインクールドツインカム103(1689cc)を搭載。ミッションは6速で、余裕の高速巡航が特徴です。またインジェクションのセッティングが年々良くなってきており、過去最高のロングストロークエンジンのおかげで一発一発の鼓動はこれまでのモデルを超えたのではないか、とさえ感じられました。
ツーリングファミリーについては見た目やタイヤサイズに大きな変更はありません。ただし、オーディオは新しいモデルになるほど使い勝手のいいモノに代わっています。2002年までのモデルはAM/FM/カセットにしか対応していませんでしたが、2003年以降はカセット機能がCDに変更、2006年以降はMP3プレイヤーに対応したモノに変更されています。そして2014年にはプロジェクトラッシュモアにより、オーディオ機能が大幅にアップデイトされました。オーディオ機器は後から変更するのは大変ですから、新しいモデルを選んだ方がいいでしょう。
モデルの増減についても触れておきましょう。かつてはロードキングポリスという人気モデルがありましたが、2003年モデルを最後にラインナップから落ちています。代わりに2005年に登場したFLTR ロードグライド、2006年のFLHX ストリートグライド、2010年にFLTRX ロードグライド、2015年にはFLHTKL TCウルトラリミテッドローなどが登場し、人気を集めています。
先ほど見た目には大きな変化はない、と書きましたが、実はタンクの容量が18.9Lから22.7Lへと増えています。見た目を変えずにタンク内部の構造を換えることで容量アップが実現されています。他にも、ハンドルの配線がスッキリとスロットルレスポンスが向上する電子制御スロットルやブレーキにABSが採用されるなど、ツーリングファミリーは大きな変化を遂げています。大きく進化を遂げているにもかかわらず、見た目には変化を感じさせないところが、旧き良き伝統を守るハーレーの素晴らしい点と言えるでしょう。
オーナーによって好みはあるでしょうが、威風堂々としたツーリングファミリーはいつの時代も見る人の目を惹きつけてやみません。一般の方がハーレーと聞いてイメージするのもツーリングファミリーが多く、その点から考えると、「王道」とも言えるファミリーです。今までも、これからもハーレーの伝統を受け継いでいくツーリングファミリー。ツーリングファミリーのオーナーはその伝統ある歴史を将来まで受け継いでいく乗り手の一人だと言えるでしょう。ツーリングモデルとしてのハイレベルな機能性、ハーレーの伝統を受け継ぐその歴史、これからオーナーになる方はその両方をお楽しみください。