アイアンスポーツを仕様で大きくわけると900cc(正確には883cc)と1000ccのモデルにわかれます。1970年代はアメリカのバイクや車業界ではPowerを求めて排気量競争になっていた時代でした。ハーレーもその時代の影響を受け、よりマッスルなエンジンが求められ1972年に1000ccにボアアップされることになったわけです。ちなみに900ccと1000ccではロッカーカバーの形状が違い、その違いはエンジンを見るとすぐにわかります。その形状にもそれぞれ好みがあります。
900ccと1000ccはトルク感ではそれほど違いが体感できるわけではありません。ただ900ccの方が、やや吹け上がりがマイルドで走りやすいと感じられます。どちらを選ぶのかについては単純に排気量で選ぶのではなく、他の細かな仕様で選ぶといいでしょう。例えば900ccはドラムブレーキ、1000ccはディスクブレーキが採用され、ハンドル周りのスイッチ類は900ccモデルの方がシンプルになっています。
次にキャブレターについてです。実はアイアンスポーツには4種類のキャブレターが採用されていました。混合気を低速用・中高速用のニードルで調整するリンカート、フロート室を持たないダイヤフラム型のティロットソン、ティロットソンの欠点が改良されたベンディックス、パワーと燃費が従来より向上されたケイヒン製バタフライキャブレターです。
リンカートとティロットソンは扱いが難しく、よほどこだわる人でない限り別のものに換えた方がいいでしょう。ベンディックスのキャブレターは燃費が悪いですがパワフルなキャブレターです。しかし一般的にはケイヒン製のキャブレターがセッティングも簡単で一番扱いやすくオススメのキャブレターでしょう。
最後にブレーキです。1972年のまではアイアンスポーツにはドラムブレーキが採用されていました。一般に思われているほど制動能力は悪くなく、ブレーキキャリパーがなく見た目はシンプルなブレーキシステムでそのファンも多いブレーキシステムです。
また、ドラムブレーキ採用モデルはマスターシリンダーがなく、左右分割タイプのハンドルはインナースロットルでハンドル内に配線が通っており、ハンドル周りのスイッチ類がシンプルになっています。1973年以降はディスクブレーキが採用され、マスターシリンダーやスイッチ類は大柄になっています。ハンドルも左右一体型のものが採用され配線はハンドルに添うように外出しになっています。
排気量:900cc
圧縮比:7.5
タンク:Kモデルタイプ
キャブレター:リンカート
フレーム:Kフレーム「鋳物フレーム」
ブレーキ:ドラムブレーキ
クラッチ:乾式クラッチ
バッテリー:6V
ホイール:前後18インチのスポークホイール
XLH、XLCH(58年はレース専用モデルのみ)登場。
圧縮比:9に変更。
バッテリーが12Vに変更されたが、このモデルのバッテリーは6Vのバッテリーを2つ合わせただけのものだった。
FLHと同じ大容量の12Vバッテリーを採用し、安定した電気の供給がされるようになった。
キャブレターが「リンカート」からフロート室を持たないダイヤフラム型の「ティロットソン」に変更。
AMF社がハーレー社を傘下に収める。
インナーチューブがメッキタイプになり、オイルシールも装備されフォークブーツカバーは廃止された。
点火システムの変更。ポイントシステムが「デスビ」から「カムカバーの横」に移された。
排気量が1000ccにボアアップ。1972年に関しては排気量のみの変更でブレーキやハンドル周りのスイッチ類は従来通り。キャブレターが「ティロットソン」からその欠点が改良された「ベンディックス」に変更。
ディスクブレーキが採用。Kフレームに仕様変更があり従来の通称「鋳物フレーム」のシートポストやネックエンドの鋳物部分がパイプの溶接に代わり、見た目がスッキリとした通称「アングルフレーム」に変更。
従来までの右足でのシフトチェンジから、現在のスポーツスターと同じ「右ブレーキ・左シフトチェンジ」に変更された。
パワーと燃費が従来より向上されたケイヒン製バタフライキャブレターが採用された。クランクケース、オイルポンプ、プライマリー・カムカバーの形状が変更され、ステップの取り付け位置が従来のフレームマウントからケースマウントに変更された。
ブレーキがダブルディスクに変更。
「XLCR」タイプの通称「CRフレーム」にフレームが変更。
一部モデルを除きスポークホイールがチューブ仕様のキャストホイールに変更された。
※XLCRは1977、78年はキャストホイールが標準装備。
エボリューションエンジンの搭載を想定して作られたフレーム、通称「エボフレーム」が採用。
キャストホイールがチューブレス仕様に変更。
マスターシリンダー、メーター、スイッチコントロール類が変更。