110年以上の歴史を持つハーレーダビッドソンが一貫して手掛けてきた大陸横断バイクの代表格とも言えるファミリーがこのツーリングファミリーです。日本の約25倍とも言われる国土を持つアメリカで、「その端から端まで走破できるモーターサイクルを」と、高い強度と快適性を併せ持つロードバイクを開発し続けてきました。
1958年、それまでリアショックという概念を持たないリジッドフレームがツインショック構造のフレームへと変わったデュオグライド(パンヘッドエンジン)が誕生し、1965年にはセル(電気式)スターターが備わったエレクトラグライドが生まれ、エンジンもショベルヘッド、エボリューション、ツインカムと進化。ツーリングファミリーだけに与えられた大きなフェアリング(ウルトラのバッドウイングフェアリングとロードグライドのシャークノーズフェアリング)内にはナビゲーションやスピーカーが搭載されるようになり、はてしないロングライドでも楽しく過ごせる仕様となっています。
常に最新技術が搭載されるツーリングモデルは、ハーレーらしいノスタルジックな雰囲気はそのままに快適なライディングを提供することを課せられた、文字どおりハーレーの顔とも言うべき存在なのです。
2017年、18年間もビッグツインエンジンとしてハーレーを支え続けてきたツインカムの後継エンジン「ミルウォーキーエイト」が誕生。ツーリングファミリーとCVO(FXSE除く)、トライクの各モデルに搭載されました。ツーリングファミリーには排気量1,745cc(107ci)の「ミルウォーキーエイト107」と空水冷の「ツインクールド・ミルウォーキーエイト107」が与えられ、そのライディングパフォーマンスを劇的にアップさせました。また全く新しいフロント&リアサスペンションのコンポーネントが、全てのツーリングファミリーに搭載され、快適性、操作性、パフォーマンスを高めています。
2014年に水冷機能を併載した空水冷ツインカム「ツインクールド・ツインカムエンジン」が登場、ウルトラやロードグライドなどロワフェアリングを持つツーリングモデルに搭載されました。空水冷の「ツインクールド・ミルウォーキーエイト107」はロードグライドウルトラとウルトラリミテッド、ウルトラリミテッドローに搭載され、空水冷とは異なるオイルラインを持つ空油冷エンジンとも言える「ミルウォーキーエイト107」はロードキング、ロードグライドスペシャル、ストリートグライドスペシャルに搭載されています。
実際に乗ってみると、その挙動のいずれもがツインカムを大きく上回ることを体感できるでしょう。とりわけスポーツバイクとしての側面を強くした印象のミルウォーキーエイトなので、ツーリングモデルのなかでも軽量で扱いやすいストリートグライドやロードキングにはちょうどいい仕様と言えるかもしれません。
ウルトラと同じバッドウイングフェアリングを持つモデルながら、無駄な装備をそぎ落とし、さらにロー&ロングのスタイルを与えたストリートバイクとして整えられた、まったく新しいニューエイジモデル。ミルウォーキーエイトの性能を引き出すのにふさわしいモデルです。
ツーリングファミリーのなかでもとりわけノスタルジックな雰囲気を残すロードキング。ルート66の景色にそのまま溶け込んでしまいそうなこの一台にもミルウォーキーエイトが付与されました。古き良き時代のスタイルに最新のエンジンと、温故知新という言葉をそのまま表現したようなモデルです。
ハーレーダビッドソンの代表格とも言える、メガツアラーがこのモデルです。残念ながらフェアリングに内蔵されるモニターにナビゲーションシステムが入っていませんが、どれほどの旅になろうとも快適性を損なわないライディング性能と積載能力を兼ね備えた一台。これぞキング・オブ・モーターサイクルと言えるものでしょう。
ウルトラリミテッドと同じくトップクラスの走行性能と積載能力を併せ持ち、それでいてデュアルヘッドライト(二灯)のシャークノーズフェアリングが備わったモデル、ロードグライドウルトラ。ウルトラと違ってフェアリングがフロントフォークにマウントされていないので、ハンドリングに差が出る一台なのです。