ハーレーダビッドソンが新たに打ち出したストリートバイク「ストリート750」がデビューしたのは2015年。ツインカム、エボリューションという空冷エンジンの系譜ではなく、Vロッドに搭載される60°水冷Vツインエンジン「レボリューション」の弟分となる「レボリューションX」(排気量749cc)を心臓とし、軽やかなフットワークを実現するフロント17/リア15インチというホイールサイズにニュートラルなライディングポジション、わずか230kgの車重などが合わさり、その愚鈍さが味わい深さとされるこれまでのハーレーダビッドソンとは対極的な「軽快感」を楽しませるライドフィールが特徴のモデルとしてラインナップされています。
走りそのものは未来を切り開きつつ、その一方でスタイルはハーレーダビッドソンの伝統を重んじているのがこのストリート750です。真っ黒なボディに7スポークホイール、攻撃的なスピードスクリーンや2in1マフラー、フォークブーツといったディテールは、1977年に登場した往年の名車XLCRを彷彿させるもの。
ハーレーでは初となるインド工場での生産とあって、現ラインナップではもっともリーズナブルな販売価格になっているところも大きな魅力。そう、ハーレーに乗る楽しみであるカスタムを楽しむうえで、最初の一歩にふさわしいモデルでもあるわけです。その展開から、世界中でこのストリート750をベースにしたカスタムコンテストが繰り広げられ、日本でもハーレー正規ディーラーによる「Battle of the Kings」と、カスタムショップによる「Street Build off」というふたつのカスタムコンテストが開催されるなど、大きなムーブメントを引き起こしました。
ふたつのブラック(ビビッドブラックとブラックデニム)にレッド、ブルーという単色カラーが基本だったストリート750。カスタムベースという基本的な考え方に基づくカラーリングでしたが、今年(2017年モデル)はそこにツートーンカラーモデルとなる「ファイヤーレッドデラックス」と「ビビッドブラックデラックス」が追加。ラインナップが一層彩り豊かになりました。
そんなストリート750は、空冷Vツインエンジンを積んだ兄貴分のVロッドとは明らかに一線を画した存在。だからこそ求められるのが「ハーレーダビッドソンに何を求めるか」になります。
「ハーレーのことはよくわからない。だから一番リーズナブルなモデルから始めたい」というスタートに、このストリート750はうってつけ。兄貴分とは明らかに違うモデルだからこそ、先入観なくオートバイ、そしてハーレーダビッドソンに乗ることが楽しめ、そしてカスタムの可能性を探っていくことができるはず。そんな初々しい気持ちに、ストリート750は心地よく応えてくれることでしょう。
現ラインナップでは末弟にあたる水冷Vツインエンジンモデル。軽快で加速感あふれるライドフィールが魅力的なスポーツネイキッドで、それでいてクラシカルなシルエットがハーレーダビッドソンらしさを醸し出している。装飾が少ないシンプルなスタイルは「ブラックキャンバス」と呼ばれ、カスタムすることでオリジナリティあふれるマシンに仕上げていく歓びを内包したモデルという位置づけとされている。