「“ゴテゴテしていない、大人のバガーにしてほしい”というのがオーナーの要望でした」
フルノーマルのFLHX ストリートグライドを持ち込んできたオーナーの要望を受けた神戸のカスタムショップ ルードロッド代表の榊 和道氏は、ならばと、アレンネスにパフォーマンスマシーン、クリアキンと、バガーカスタムを構築する上で代表的なパーツブランドからアイテムを選択し、それをルードロッドお得意のダークテイストでまとめる手法を選んだ。
神戸のニューオーダーチョッパーショーなどにも出展しているルードロッドのカスタムモデルをご覧になられた方はご存知かもしれないが、榊氏のダークカスタムはただ黒くしているのではなく、エンジンの色やそのほかの部位とのカラーバランスを考慮したうえでブラックという色を操っている。今回もクロームメッキがほどこされたツインカムエンジンや、ビレットの質感が美しいパフォーマンスマシーンのホイールとの相性、そしてオーナーの要望をミックスさせ、ヤッコカウルはもちろんフューエルタンク、前後フェンダー、そしてサイドケースまで完全にブラックアウト。ロゴやピンストライプも入れず、「ビレット感を主張しつつもシックな一台にまとめたかった」(榊氏)という仕上がりとされる。
大胆なまとめ方ながら、細やかなところに気付くビルダーらしい仕事ぶりも随所に見受けられる。バガースタイルらしい迫力あるリアエンドのどこに、日本仕様のナンバープレートを埋め込むか、考慮した末にサイドカバーに縦置き&埋め込みという方法をチョイス。ウインカーやテールランプも、ステップボード埋め込み式パーツやバガーのリアエンドの雰囲気を損ねない取り付けにするなど、お見事と唸らされる。
ツーリングモデルをバガースタイルにカスタムする際、この分野を得意とするショップは理想のスタイルを生み出すためにワンオフで各部位を形成していくことがあるが、ルードロッドは元H-D正規ディーラーでの勤務経験などを生かし、さまざまなパーツメーカーのアイテム群からベストなものを選び出し、異なるテイストのものばかりでも、イメージどおり、違和感なく組み込んで同ショップらしいスタイルでフィニッシュさせる。この完成形を見れば、そのスキルの高さが伺えようというもの。
新旧スポーツスターが得意なイメージがあるルードロッドだが、ショップに足を踏み入れると、ショベル以前の旧車や現行ツーリングモデルまで、ありとあらゆるハーレーダビッドソンが店内を埋め尽くしていることに驚かされる。これはひとえに、榊氏の幅広い対応力の結果と言えよう。