アメリカでカスタムカルチャーがもっとも盛んだったと言われる1970年代へのオマージュ……そんな意味合いが込められたネーミングで2012年にデビューしたスポーツスター XL1200V セブンティーツー。メッキが施された1,201ccエヴォリューションエンジンにミニエイプバー、ピーナッツタンク、21インチ スポークホイール、フォワードコントロール ステップ、そら豆シート、チョップドリアフェンダーと、枚挙にいとまがないほどのポイントが見受けられるファクトリーカスタムモデルである。
「ここまでやりきったぞ」というカンパニーの鼻息まで聞こえてきそうな完成度だが、そのまま吊るしで乗ったのでは面白みはない。ペットネームにある“1970年代チョッパースタイル”の名にふさわしいスタイルに昇華させようと、兵庫・伊丹に居を構えるH-D正規ディーラー ハーレーダビッドソン プラザ伊丹の森山 利明店長が、自ら同モデルを購入し、考えうるカスタムを加えていった。それがこの一台である。
改めて、このスタイリングには感心させられる。カンパニーが自信を持って市場に投じたモデルではあるが、ノーマルのセブンティーツーを見ていると、やはりラバーマウント スポーツスターに手を入れることの難しさを痛感する。フレームの太さや配線の多さなど、言い出せばキリがないいくつものハードルが存在し、カンパニーとして出来うる精一杯のカスタムモデルであったのだろう。そして「これをさらにカッコよくできるかどうかは、ディーラーやサードパーティ、ユーザーに任せてみよう」という意思があったに違いない。
プラザ伊丹のこの一台は、確実にセブンティーツーというモデルを一段上のステージに引き上げた感さえある。これぞセブンティーツー、これぞ70’s Chopper Styleだ、と。XL1200X フォーティーエイトやXL1200C カスタムなどにも言えるが、ファクトリーカスタムモデルのさらに上をいくスタイルへの挑戦こそ、ハーレーダビッドソン カスタムという世界を楽しむ醍醐味なのであろう。