XR という名前は、歴代のワークスダートトラッカーに与えられてきた。言わばハーレー製レーシングマシンの証である。かつて市販された XR1000 も、当時のワークスレーサーである XR750 のレプリカだった。2009年式 年に登場したこの XR は、最新のエンジンを搭載して当時のデザインの面影を残しつつ、新たなるハイパフォーマンスマシンとしての役割を担っての登場だったのである。
一国サイクルワークスの代表である梅島さんは、本人もサーキットを走り込むほどのスポーツフリーク。だからこそ、この新進の XR には大きな興味を持っていたのだ。
レースやスポーツライディングの経験が豊富なショップゆえに、足周りのモディファイはお手のもの。前後のサスペションをオーリンズに交換してしまう前提なので、ベース車はおのずとスタンダードの XR1200 となった。徹底的に車体のバランスを考慮したモディファイに徹してパフォーマンスを追及。各パーツの軽量化とともに、走りを大幅にアップグレードさせた XR1200 を作り上げた。
そのシルエットはシンプルだが、なんだかとても凄みがある。全体に艶を落としたディープなブラックという外観に、前後のオーリンズが誇らしげに映る。ホイールは白で、そのコントラストが走り屋系ライダーのハートをわしづかみにしてしまうのだ。
XR はやはり、ハイパフォーマンスの象徴でなくてはならない。生産が終わってしまった現代では、とても貴重な1台となって、この先もオーラを放ち続けることになるだろう。