ローダウンをし不要なものを極力取り去るチョッパースタイルは、ハーレーカスタムの王道パターンだが、いっぽうでバンク角確保のために車高を維持し、パフォーマンスアップを目的に機能パーツを組み込むレーシングスタイルは、ハーレーの中でもスポーツスターだけの特権と言える。それは、ダートトラックやロードコースで活躍した XR という兄弟車がいるからで、酷似したスタイルを作ることができるのはスポーツスターが同じ4カムエンジンを持つからである。
オートグラフィックフジシマが製作したこのカスタムは、ハイマウントのダブルサイレンサーにダートトラックシート、テイストのタンクという、XR 仕様を作る上で欠かせない定番パーツを盛り込んだ王道の1台。以前国内で開催していたスポーツスターカップでも活躍したショップだけに、作り込みには安心感がある。ベース車両は XL1200S で、当時はスポーツスターで唯一フルアジャスタブルサスペンションを純正装備していた。そこからホイールをラジアルタイヤ対応サイズに変え、併せて足周りも国産モデル用を流用しまとめ直している。
ホイールサイズを前後 17 インチにすることでタイヤの選択幅が広がった車体は、最新ラジアルタイヤの恩恵である高いグリップ力を得て、走りの安心感を増した。またスタンダードのリア 16 インチに比較し、同じ車高を保つ上でスイングアームの垂れ角が少なくて済むため、低速コーナーでも安心してスロットルを開けていける。使用パーツはヤマハ XJR400 用がほとんど。パーツコストを抑えつつ性能アップを図った、ハイパフォーマンススポーツスターである。