ロー&ロングのシャープなフォルムが目を引くこのチョッパーハーレー、車体が描くラインにこだわった神戸のシウン クラフトワークスらしい徹底した仕事ぶりが伺える一台である。
オーナーは完成型に明確なイメージを持っており、全体的なスタイリングはもちろん、ディテールの細かな部分まで「こういう形にしたい」との要望があった。そうした要望のすべてを詰め込み、いかに美しいフォルムでフィニッシュさせるか……。「結構頭を悩ませたよ(笑)。だからこそ仕上がりには納得できてる」という代表の松村 友章氏。その表情に浮かんでいたのは、苦悩ではなく清々しいまでの達成感だった。
「“これぞシウン!”っていう、誰が見ても分かるインパクトというのはウチの場合薄いかもしれへん。僕がこだわるのは、“ハーレーダビッドソンとしてのあるべき姿”や、自分のなかにある揺るぎないチョッパーというカスタムへの想い。そこは絶対に譲りたくないし、だからこそ難しいオーダーにも妥協せず、自分の哲学を盛り込めたという自負はあるね」
“チョッパー”とはカスタムにおけるひとつの表現方法だが、松村氏はそのチョッパーに対して飽くなき執念を見せる人物だ。ベース車両が何であれ、オーナーの意向を汲み取りつつ、最終的に完成した際の姿をイメージし、その姿を生み出すために必要な作業については一切妥協をしない。ビジネスの枠を超えて作業に没頭することなど、もはや日常となっている。
カスタムショップそれぞれに個性があり、独創性あふれるデザインのカスタムバイクがあり、そのスタイルに惹かれてやってくるオーナーがいる。そんななかで、シウン クラフトワークスというショップが他とは一線を画していると思うのは、デザイン云々ではなく、ハーレーダビッドソンに対する深い造詣と愛情に対して惹かれる人が多いことである。シウンに集う人々の笑顔を見ていると、いつもそんなことを感じさせられる。