レザーブランド『Schott』(ショット)とイエローモーターサイクルの結びつきは深く、じつは数年前にもSchottの名を冠したSRチョッパーを発表したことがあるのだが、今回紹介するのはは2013年のSchott100周年記念時に開催されたさまざまな企画のひとつとして作られた一台だ。
テーマとなったのは、日本でSchottを取り扱う上野商会・飯塚氏の「高級な革ジャンよりも、街の不良たちのアイコン的存在でいたい」という言葉。そこでイエローモーターサイクルのビルダー三田洋一氏は、できるだけ “いま工場内にあるもの”を使ってカスタムを進めることを発案。新しくパーツを買うのではなく、“いまあるもの”を作り直したり、それらを材料にして実際に作業を進めていったという。例えばリアフェンダーは、以前同店で製作したチョッパーに装着されていたものを再利用したものだし、フューエルタンクは工場に転がっていた車種不明のものを使用したといった具合だ。
さらにそうしたこだわりはパーツだけに留まらず、ペイントも同様で、チョッパーと同じストリートカルチャーであるグラフティ専門の缶スプレーブランド「モンタナカラーズ」を使用。フューエルタンクの「Schott」ロゴもステンシルで描かれたものである。こうして完成したマシンは、Schottの名を冠してはいるものの、決して高級なショーバイクなどではなく、あくまでも街の不良=自分たちが手の届くバイクとしての佇まいを見せている。
ちなみにこのマシンは2013年10月11日から12月31日まで、Schott100周年企画のラストを飾るイベント『Schott 100years CAFE』に実際に展示され、高い注目を浴びた。ガレージ感漂うチョッパーであるが、しかしだからこそ、この一台にはイエローモーターサイクルによるSchottへの感謝と尊敬が、しっかりと込められているのである。