昨年カスタムショーの最高峰“LA CALENDER MOTORCYCLE SHOW”をはじめ世界中のコンテストに出展し、5つものアワードを獲得したケンズファクトリー。各マシンごとに高い評価を得、この「Villain Daddy」もHCSでBest of motorcycle H-Dを受賞した。
前後23 / 20インチからなる2005年式FXST。ビルダー永井健曰く「タイヤのインパクトが強いHOT WHEELのような雰囲気が出てカッコ良い」という理由から、リアの20インチは譲れない箇所だった。そのため、市販では未だ出ていないソフテイル用の72丁プーリーをワンオフで製作。同じくワンオフのФ49フォークでバランスし、スピード感あるサイドビューを演出している。
細部に至る徹底した作り込みはいわずもがなだが、このマシン最大の見せ場は「純正フレーム」がベースであること。シートエンドに沿ったデザイン性の高いサブパイプや、外装のマットペイントに合わせたフレームのガンメタ塗装などで、純正フレームながらもカスタムテイスト溢れた仕上がりとなっている。またスイングアームは強度を考えシームレス(継ぎ目のない)パイプで製作。ダイナをほうふつさせる形状がアクセントとなっている。
早速S&Sのヘッドを組み込んで95ci.(1550cc)にボアアップしたTCモーターに火を入れる。セル一発で目覚めたマシンから放たれるエキゾースト音がショッキングだ。スロットル開度に比例して迫力を増すそれは、まるでツインペダルによるツーバスの嵐。乗り手を統帥させるに十分な怒涛のサウンドだ。ミッドコントロールと程よいハンドル幅からなるポジションに違和感はない。信頼性の高いノーマルフレームがベースゆえ、街乗り / 高速ともに不安な挙動は皆無だった。
ストックが本来持つ旨味を引き出した上で、隙のない作り込みが施された「Villain Daddy」。純正フレームをベースにした次代のカスタムサンプルと呼ぶべき一台である。