メカニカルなディテイルワークとロー&ロングのフォルム。「これぞホットドック!」と呼ぶべきスタイルが与えられた2003モデルのTC96ソフテイル。フレームからスイングアームまでシルバーで塗装された外装には、同店のオリジナルパーツが惜しげもなく散りばめられている。
ビレットホイールにローマウントのフューエルタンク、フェンダーなどすべてがこのマシンに合わせて製作したかのマッチング。ホットドックの強みはワン&オンリーのモディファイを彩る、これらオリジナルパーツの豊富なラインナップだ。
ミッドコントロールと手前にベントしたライザー、ドラッグバーが形成するタイトなポジション。シート高は見た目の印象より実際に着座すると若干高く感じたが、両手でグリップを握り、改めて腰位置を確認すれば、手足の先に「あるべきものがすべてある」という極めて快適なポジションであることがわかる。
絶妙なハンドル幅の恩恵で都内の渋滞も難なくクリア。視界が開けると「待っていました!」とスロットルをワイドオープン。FCRキャブ以外はストックだが、その加速は侮れない。1450ccエンジンが100パーセントで炸裂した瞬間、それは気を抜けば振り落とされんばかりの加速感だった。スロットルワークに敏捷な走りはFCRの恩恵かもしれない。しかし吸排気や点火、足回り、ポジションを含めたセッティングワークがあってこそ実現する安定感のあるポジションだ。
もはや国内はおろか「世界屈指」と呼ぶべき手練のカスタムビルダー、河北啓二率いるホットドックのマスターピースとも言える1台だ。