群馬県のモトショップ トノウチが今回作り上げたのは、1979年式 FXEをベースにしたチョッパー。オーナーが「シンプルで、小さく見えるように」という要望とともに持ち込んだ車両で、そんなチョッパーの基本とも言えるオーダーどおり、「シンプル&コンパクト」を徹底的に追及して製作された。
同店ではリジッドフレームやハードテール化されたマシンは珍しくはないのだが、このマシンではあえて純正フレームをベースに製作。ただし、シートレールを加工し、スイングアームはパンヘッドを流用。純正H-Dらしさを残しながらも、より小さなシルエットを完成させている。また、ショベルヘッドの持つオールド感をアップさせる演出として、フロントにはハンバーガードラムブレーキをチョイス。効きの悪さに定評(?)のあるブレーキシステムではあるが、あえて装備した甲斐あって、雰囲気は大きく高められている。
エンジンのチューニングは行わず、純正をベースにしたオーバーホールに留められている。最近では軽快なスタイルにチューンドエンジンを搭載したチョッパーを見かけることが多いが、このマシンはあくまでもショベルヘッドの鼓動感や乗り味を重視しているのだ。
また外装に目をやると、フューエルタンクはシンプルなピーナッツタンクを採用。シートやハンドルはワンオフながらも、これらは決して奇をてらったデザインではなく、オーナーの体型やフレーム形状に合わせたもの。あくまでもスタイリングのまとまりを重視した結果であることは一目瞭然だ。
エンジンやフレームなど、ハーレー本来の味わいを大切に残しつつ、よりコンパクトなチョッパースタイルを追求する……カスタマイズの基本であり、ビルダーのセンスが如実に現れる一台を、モトショップ トノウチはみごとに完成させたと言えるだろう。