群馬県に拠点を置くモトショップ トノウチは、国産からハーレーまで車種を問わず、コンパクトなストリートチョッパーに定評のあるカスタムショップだ。その一貫したスタイルによりファンは安心して同店にカスタムを任せられるというわけだが、同店がデモマシン兼販売車両としてさらに幅広い顧客へのアピールを狙ったのが、ここに紹介する一台だ。
ベースとなったのは、1983年式 FXSB……つまりショベルヘッド・ローライダーの最終モデルなのだが、同店ではそれを大胆にハードテール化。前後ホイールに純正キャストを採用することで、都会的なフォルムを実現している。そしてフューエルタンクやシート、ハンドルバーといった主立ったパーツはワンオフ。決して奇をてらったような意匠ではなく、あくまでもオーソドックスなものなのだが、ハードテールフレームとの相性を考えたサイズ感、マウント位置などは完璧なもの。このマシンならではの存在感を放っている。
さらに外装を見てみると、外装に施されたペイントに目がいく。これまた派手なものではないのだが、ヴィンテージH-Dのロゴをアレンジすることで、オールドスクールの雰囲気を大切にしながらも、このマシンがチョッパー(=カスタムマシン)であることを強く主張しているのである。
エキゾーストマフラーはワンオフで、絶妙なアールがこのマシンの見どころとなっており、吸気にS&Sを採用することで小気味よい走りも期待できる。グリップとステップをホワイトで統一するなど、細かい箇所にも抜かりはない。アップ気味のステップからなるライディングポジションもまた胸を高鳴らせる一因だ。
オーソドックスなパーツ構成だからこそ、センスが問われる難しいスタンダードチョッパー。みごとにまとめあげたトノウチのセンスに脱帽だ。