バイクの楽しみ方は人それぞれ、まさに千差万別。ツーリングにレース、カスタム、人によってはひたすら愛車を磨くなんてこともあるだろう。ここに紹介するFXSは、そのプロジェクトを「チョッパーに乗りたい、そしてキャンプに行きたい」というところからはじまったという。しかし、本来キャンプに行くのであれば、オフロード車やツアラー、ハーレーであればツーリングファミリーなどが適している。無駄を廃したチョッパーでわざわざハードなキャンプに行くというのは設定に無理がある……。
そこでイエローモーターサイクルが考えた設定が「山にあるキャンプ場に行く」、「移動時間は3時間くらい」というもの。そこで、一般的なオールドスクールチョッパーよりも容量の多いフューエルタンクをセレクト。さらにシッシーバーにはフックを備え付け、積載力をアップさせた。また、HONDAトライアルモデルのフロント周りを移植し、さらにブロックタイヤを履かせることで、走るところを選ばないキャンプ専用チョッパーのイメージを高めている。
こうして完成したチョッパーは、旅や自由といった雰囲気を濃く放ったものとなった。そこでつけられたペットネームが“gypsy”(ジプシー)。フューエルタンクに装着された鳥のエンブレムには「自由に空を飛ぶ」という意味が込められている。この辺りはイエローモーターサイクルが得意とする遊び心、想像力の見せどころと言えるだろう。そして、その想像力はさらなる広がりを見せる。そう、フレーム右側後方に装着された色とりどりの「YELLOW MOTORCYCLE」の文字は、gypsy=遊牧民が行う刺繍の配色をモチーフにしたものだ。
「チョッパーでキャンプに行く」という一見まじめなコンセプトかと思いつつ、やはり着地点は遊びでいっぱい。これぞ、イエローモーターサイクルのチョッパーである。