「このショベルヘッドは、視覚に訴えかけるカスタムペイントが施された車両とは対極に位置するモノトーンの色調ながらも、見応えのある車両を目指して各部のディテイルや全体のバランスにこだわって製作しました。きらびやかなカスタムマシンとは少し距離を置きたかったのかもしれません。きっと気分を変えたかったんだと思います」
LONER SAGE 主宰、中村 實はこう切り出した。確かにこのショベルヘッドは、まるで宝石のようなカスタムペイントが施された LONER SAGE とは一線を画す、ソリッドなカスタムである。1975年式 FL をベースに製作されたこの車両、見れば見るほどに緻密なメタルワークに驚かされる。鉄板から叩き出された変形オイルタンクはシートレールにぴたりと沿うよう製作。マスタングタンクをベースにモディファイされたディアドロップ型のフューエルタンクサイドには、スチールプレートのフィンがあしわられている。サイドのラウンド面に沿って立体的に配された有機的なフィンが何とも美しい。
そしてこの車両最大の見せ場となるのがリアフェンダーである。一見しただけでは分かりづらいが二重構造となっている。フィンが立てられたフェンダーベースはストラットと一体型であり、さらにナンバー灯が設置されたナンバーサポートも兼ねている。このフェンダーベースは骨格のようなもので、その上にカバーとなるフェンダーが取り付けられている。菱形のテールライトはワンオフ製作されたもので、リフレクター機能も備えている。これら外装のメタルワークにより、カスタムペイントをも凌駕する圧倒的な存在感を入手している。