アメリカ在住のカスタムビルダー、チャボエンジニアリング率いる木村信也以外、日本人としては唯一となるキャノンボーラーとなった新美佳昌。ご覧の一台は彼が率いる JAM’Z GARAGE 製作のパンヘッドだ。愛知県岡崎市のゼロエンジニアリングで10年間働き、同県豊川市に JAM’Z GARAGE をオープンさせたのは今から3年前のこと。ゼロでの10年で体得したカスタムビルドのスキルをベースに、現在の新美は自らの世界観をハーレーに投影すべく、じっくりとマイペースに創作活動に打ち込んでいる。
新美が手がけるのはカスタムバイクが中心だが、約1ヶ月近く店を閉めてまで参加した大陸横断レースという稀有な体験や、幼い頃から憧れ続けついに手に入れた63フォードのレストレーションといったプライベートでの一面をみれば、メカニックという職業を楽しみつつ、同時に己の人生自体をクリエイトしているような気がする。
「例えばクルマだと50年代よりも60年代のデザインが好きです。もちろんこれは個人的な趣味だけど、やはり大量生産になる前のマスプロダクトに惹かれます。メンテや修理さえすれば、いつまででも使えるものに愛着があるし、機能的で美しいと思えるものは、どうしても古いものが多くなってしまうんです」
そんな趣向の主が営むバイク屋ゆえ、集まる車両はショベル以前が多く、ご覧のパンヘッドのオーナーもしかりだ。
「ベース車の基本性能をスポイルするモディファイは避け、元来のポテンシャルを引き出し乗り手がそれを存分に楽しめるカスタムが好き。走って楽しいことがボクは大切だと思うから。強いてこだわりを言えば全体のシルエットとバランスです。だってカッコ良くないと意味がないでしょう?」
生粋のノリモノ好き。そんなメカニックならではのマナーが投影された63FLだ。