ナニワのシンボル・通天閣の元に広がる歓楽街。その裏路地にひっそりと佇むご覧のチョッパーは、大阪市生野区にあるビンティッジハーレーのスペシャリスト、村山モーターサイクルにより製作された。
スラリとしたルックスがそそるH-D GENUINE製ストレートレグ・リジッドフレーム。この美しい骨格は55 FL = ハイドラグライドに採用されたもので、エンジン&トランスも同年式のマッチング。キャスター角度が任意で微調整可能な同年代のサイドカー用トリプルツリーにより、若干寝かされたグライドフォークもしかり。さらに適度なエクステンドとフォークブーツ、21インチのフロントホイールが加味され、軽快かつワイルドなフロント周りが形成される。
「カスタムなんて大それたものじゃないが、安全でつぶれないように作った地域密着型のチョッパーだよ」
村山のコンセプトの通り、丁寧に整備された排気量74ci = 1200ccのオールドモーターと4spトランスが、軽量コンパクトにシェイプされた車体をグイグイと加速させる。
ディテイルを見れば、手練メカニックとして知られる彼の飾らない、しかし旧車好きならではの人柄も見える。カルトでもB級でもなく目新しくもない。しかし絶対に外さない。さりげなく粋なこのセンスが投影されたチョッパーこそ村山の真骨頂である。
走行に支障の出るモディファイや奇をてらうことなく、旧車ならではのライドフィードを引き出したチョッパー。
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「なぜハーレーなのか」
華やかなカスタムショーが盛況を極める昨今、これを読むみなさんには今一度それを考えてみて欲しい。ビンティッジハーレーを心から愛する村山のカスタムマナーに、ボクはその回答が隠されているような気がする。