HOT CHOP SPEED SHOP、中野健太郎がHCSに持ち込んだロングフォークチョッパー。イメージソースは1970年代後半のB級チョッパーだ。しかし当時のスタイルや手法を単に再現、コピーするのではなく、独自のアプローチにより洗練されたマシンに仕上げられている。
純正4速フレームのステムヘッドを2.5インチ上方へストレッチ。ネック角は38度に設定し、ナロードされたトリプルツリーに12インチオーバーのフォークを装着。ホイールは19インチのインベーダー、リアには16インチのディッシュホイールが取り付けられ、均整の取れたスタイリングを手に入れている。
1350ccにボアアップされたショベルモーターにアンドリュースJカム、ハント製マグ、Eキャブを装着。ロッカーはスプリットスタイルに削り落とされている。作り手本人による試乗からも、小気味よい走りを伺い知ることができた。
メインチューブにモールディングされたピーナッツタンクのマウント位置は後方にオフセット。タンク下面のスムースな処理と楕円状に成形されたメインチューブにも注目。シートは定番のキング&クイーンだが、見せ場はシッシーバー装着されていないという点にある。通常ならば、タンデムシート後方にシッシーバーを取り付け、強度を確保するのが常套手段であろう。しかしこのシートは極厚のスチールベースで強度を保ち、シンプルかつ個性的なシートに仕上げられている。リアフェンダーにもこだわりが潜む。純正フェンダーをベースに側面のラインを微調整。溶接されたストラットにより、タイヤとのクリアランスをあえて大きめに設定し、野暮ったさを醸し出している。リアショックにはリブ加工が施され、四輪用のオールドテールライトが違和感なく埋め込まれている。
定番スタイルにこれらのエッセンスを加え、磨きをかける。70年代当時のただの焼き直しではないこのチョッパーには、紛れもないオリジナリティーが宿る。