若干27歳という「フロンティア」代表の浜田慎也氏は、20歳のときに国産バイクショップでメカニズムや鈑金加工を学び、その2年後に独立。高校時代から熱望していた自身のハーレーショップを福岡県飯塚市にオープンさせた。今年で4年目になる。
コンパクトなフォルムをコンセプトに製作したと言う1978FLH。オーナーからのオーダーは「格好良く」。至って抽象的なこの要望を具現化するのは作り手のセンスと手腕がすべて。ありきたりと言えるオーダーの料理法は、ビルダーの力量が露呈されるダイレクトなエレメントである。
74スプリンガーに、ヤマハSRから流用した前後18/16インチのベースフォーム。そして、一見リジッドに見える骨格のリアアクスル部にはプランジャータイプのショック機能が内蔵される。モンキー用のグリップやレバーを使い、手前にオフセットしたハンドルと、ワンオフのミッドコントロールでロー&イージーなポジションを形成する。
1200ccのストックエンジンにEキャブを装着した乗り味は快調そのもの。普段からエンジンに火を入れているのが明らかな、スムーズなライドフィールだ。また、上半身の自由度が高いハンドル位置によりクイックなハンドリングにも不安はない。快活なエキゾーストノートとともに、ワインディングのコーナーを難なくこなすその乗り味に高揚感を覚えた。
国産パーツを流用し、狙ったフォルムへ導くための柔軟な発想と、性格を表す丁寧なディテイルワーク。カスタムは人柄を表す。固定概念に縛られない若きビルダーの目指す先は、その屋号がすべてを物語っている。