エンジン造形を最大限に引き出すべく製作された46EL。モーターサイクルズ・デンの松永泰幸氏が手掛けたこのマシンは、普遍的チョッパースタイルを踏襲しつつ、コンパクトな形に仕上げられている。
国内シーンにおいて様々なカスタムスタイルが興勢を極める中で、均整の取れたスタンダードなフォルムを持つこのELは希少な存在だ。これは古き良き時代のチョッパーに惹かれ、自身で当時のCHOPPER MAGを読み漁り、試行錯誤を繰り返してきたビルダー松永氏の経験値があってこそ具現化されたフォルムだ。
S&Sのフライホイールとピストン、純正ヘッドのインテークを加工し、耐久性を考えパンヘッドのシリンダーを使った1430ccのストローカーエンジン。ストックに比べ430ccアップしたビッグモーターに高回転型のアンドリュースKカムをインストール。トルク型ではなく、始動時の軽やかな吹け上がりや車速のスムーズな伸びに配慮し、セットアップされる。そして2連キャブがそのライドフィールをサポートする。
同調が取れるという理由から、車体左に2連で装着したリンカートM74B。
「一般的に1つの場合、リアはガスがリッチになるよね。だからフロント/リアでそれぞれ独立したキャブを付ければ細部までセッティングが追い込める」
もちろんアイキャッチも少なからずあるが、走りに関しても徹底的にこだわりたかったと松永氏は言う。
純正フレームと74スプリンガーには手を加えず、ハンドル周りやリアフェンダー等の外装でコンパクトなイメージを演出。また、エンジンのロッカーナット/プッシュロッドカバー/リフターは車体カラーと調和を取り、ビンティッジ感を出すべくパーカライジングが施される。
経験に裏付けされたバランス感に、全体のフォルムから細部に至るまでの配慮。この手のカスタムを得意とするデンの1台は、色褪せない輝きを帯びている。