現行のダイナモデルないしFXRをベースに、ロングライザーで高くあげられたハンドルバーとビキニカウル、2in1マフラー、そして走り優先で整えられた足まわりというフォルム……。今、アメリカのMC(モーターサイクルクラブ)で流行しているという“クラブ系カスタム”のスタンダードなスタイル。シウンクラフトワークス代表の松村 友章氏がまとめたこの一台、テーマはまさしくそのクラブ系である。
「現代版フリスコスタイルと言えるね。日本でもこのスタイルで楽しんでいる人は結構おると思うけど、全体的に見れば少数派やね。今のアメリカのMCと言えば、ツアラーかこれ。バッグやケースは当然ないよ。だって不良は荷物を持たへんから」
松村氏はそう笑う。アメリカではカウル付きのFXDXTがベースになることがある新潮流に対し、この一台にはシウンらしいアレンジが随所に吹き込まれている。リアショックはオーリンズ S36Eとし、フロントフォークスプリングもサンダンス製トラックテックに変更。またパワービジョンによるインジェクションチューニングを施し、「ノーマルとは比べものにならないほど力強い」と松村氏が語るほど、走行性能は大幅にアップされた。また、ロングライザー&ドラッグバーという組み合わせはクラブ系スタイルを踏襲しただけでなく、ライダーのポジションを考慮したベストな位置となっている。バッサーニ製 2in1 マフラーも、流儀に合わせたのはもちろん、「その性能を最大限に引き出せるものを」と探し出した逸品なのだ。
アメリカの流行を取り入れつつも、シウンらしい細やかな仕事でよりスタイリッシュにまとめられたこの一台。ハーレーダビッドソンのカスタムの世界に限界がないことを改めて感じさせられた次第である。