走行性の高さに秀でたFXDXのツアラーモデルFXDXTをベースにしたカフェレーサー。只ならぬ存在感に圧倒されながらもインプレッションを試みた。
ビッグツイン搭載車ゆえ決してコンパクトではない車体に身を屈める。前傾姿勢を強いるクリップオンハンドルとバックステップから成るライディングポジション。普段慣れ親しんだホースバックスタイルとは対照的にタイトなものだ。
ストックエンジンにはサンダンスFCRを装着。エアクリーナーはフォースワインダーでワンオフのスーパートラップをセットイン。目立ったチューンは施されていないが、スロットルを開けた際のスムーズかつ伸びのある加速フィールに高揚する。五感とシンクロした絶妙なサジ加減。仕事がら多くのカスタムに乗る機会があるものの、胸の高鳴りを覚えるマシンとの出会いは多くない。
1速から2速、3速へとシフトアップ。風の抵抗を抑えたフォルムとセッティングの出たキャブ、ラバーマウントの恩恵により、体感スピードと実速との差は大きい。気付けばあっという間に法定速度をオーバー。更に、何度も長さを検討したと言う2インチロングのスイングアームも手伝って、左右のブレがない直進安定性をも実現している。
カウルが肝となる外装はFRPをメインに、ダクト部のガイドを始め要所をカーボンで製作。カウル頂点からリアエンドにかけてのスピード感溢れるデザインは代表の成田智浩によるものだ。
「プロとして誇れる加工はもちろんだけど、ウチは走りとバランスを重視している。数あるショップの中からオーナーが信頼を寄せ注文してくれている訳だから、それに全力で応えたい。でもすべて上手くいっているのはスタッフのオカゲかな」
代表の成田氏を筆頭に手練のメカニックを擁する同店の拘りはあくまでも「走り」。過去、年間5万kmを日常的に走ってきた男の、一貫したカスタムへのアプローチである。