ウィリー・G・ダビッドソンが手掛けた名作1977FXS。ショベルの時代にデビューしたLOW RIDERから40余年の熟成を経て誕生した1998FXDL。EVOユニットとラバーマウントフレームが生み出すシンプルなルックスと優れた走行性で人気を博すモデルだ。
「純正の良さを生かしてスリムな形に」
チェリーズカンパニー代表の黒須嘉一郎が今回の1998FXDLに掲げたテーマである。フレームから手を加えた、ストリートに映えるマシンイメージが強い同店の中では、比較的ライトな1台。しかし、ビルダー黒須の培ったカスタムマナーは色濃く反映される。
シート幅とのバランスを考え製作したタンクは、ストックのセンターを詰めナロード。そのためロッカーカバーに当たるアンダーパネルはロッカー形状に沿うよう加工。そしてアルミのリブ入りタンクパネルがアクセントになる。リアフェンダーとストラットも純正がベースだ。FIRESTONEのタイヤパターンを強調するべくカットしたフェンダーエンドは、カスタムテイストあるデザインに整形。これら一連の処理に、チェリーズのこだわりが現れている。
ストックモーターにEキャブ、そしてアンドリュースEV3を装着したマシンに火を入れる。スピード狂のオーナーに合わせたセッティングのため低速ではその真価を体感することはできなかったが、剛性の高いラバーマウントフレームの安定感は健在だ。また街中での擦り抜けで威力を発揮したオリジナルのナローハイバーは、左右ともさらにエンドを1/2インチずつ詰めナロード。インナースロットルでワイヤーを中通しとし、シンプルなハンドル周りを演出する。
かつてディーラーで修行を積み、純正が持つポテンシャルを熟知するビルダー黒須。このマシンは、その経験からストックの素性を引き出し、狙ったスタイルへと導かれた1台である。